最終決戦に起きた「不運」
『M-1グランプリ 2006完全版 史上初!新たな伝説の誕生~完全優勝への道~』(よしもとアール・アンド・シー) まだ記憶に新しいチュートリアル優勝の軌跡が |
にもかかわらず、惜しくも優勝を逃した理由を考えてみると、一つには「運の悪さ」があるのかもしれません。キングコングが2本目に演った「台風リポーター」のネタは、偶然にもハリセンボンが演った「お天気お姉さん」のネタと、テーマが被りました。もちろん内容は全く別物ながらも、客席は多少意識したかもしれません。
ただ一方のトータルテンボスは、冒頭で「ホテルフロントマン」、2本目に「旅行代理店」と確信犯的に似通ったテーマのネタを選んできました。目論みどおり最終決戦も大受けしましたが、そのせいか制限時間の4分を30秒近くオーバー。サンドウィッチマンとの差が接戦だっただけに、この点を重く見た審査員がいたとも考えられます。
サンドウィッチマンの劇的優勝
見事栄冠を勝ち取ったサンドウィッチマンは、実力を充分発揮しての勝利であり、敗者復活からの勝ちあがりとは言え、他の決勝メンバーと比べても、まったく引けをとる所はありませんでした。知名度を除いては(笑)。これまでも実力は充分認められ、「エンタの神様」「虎の門」「笑点」などのテレビ出演もありながら、大多数の視聴者が今回のM-1で初めて知ったのではないでしょうか。ただ、これまでにもお笑いライブ等の舞台で、その実力を十二分に発揮してきたため、お笑いファンや業界関係者の間では、今回の優勝も納得できる結果だったようです。
ネタのベースはかなりオーソドックスなもので、当ガイドは始めて見た時に、往年のコント・レオナルドを思い出したほど。もちろん、挟み込まれるギャグやテンポは、いまの空気を反映しているため、幅広い層が違和感なく爆笑できます。
今後は漫才、コントだけでなくバラエティやトーク番組の仕事も爆発的に増えることでしょうが、M-1司会の今田耕司とのやり取りを見ていると、フリートークも充分行けることがお分かりでしょう。さっそく年末年始の生特番のオファーが殺到してるとのことなので、2007年最後、そして208年最初のブレイク芸人となることは確実でしょう。
次のページでは、最後に「言い訳」を一つ……。