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07年のホープ、チュートリアルに迫る!!(3ページ目)

昨年末の「M-1グランプリ」で、悲願の優勝を獲得したチュートリアル。早くも「妄想漫才」とキャッチコピーを付けられた彼らの独特な漫才スタイルに、いま一歩深く踏み込んで徹底分析してみたいと思います。

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

お笑い・バラエティ番組ガイド

斬新なスタイル「過剰なまでの同意」

実例として、チュートリアルがM-1最終決戦で演じたネタから、その独自性を検証してみることにしましょう。まず冒頭で、福田から「自転車のチリンチリン(ベル)が盗まれた。腹が立つ」という話が振られます。

このフリに対して従来型の漫才であれば、「それぐらいで怒るな」と、相方と対立する立場を取るのがフツーでしょう。

そこを徳井は「そんな大変なことがあったのか」と、相手の言い分を単純に認めるだけは納まらず「なのに、よくここまで来られたなぁ」と、過剰なまでの同情を示してきます。

思ってもみない展開に、観客はみな驚き、一瞬の後に爆笑が会場全体を包み込みました。この時点で「勝負あった」と感じた人も少なくなかったはずでしょう。

自ら編み出したスタイルで突っ走る

そこからは、同じくチリンチリンを失った過去を持つ徳井が、思い入れたっぷりに当時の「喪失感」を告白。その過剰なまでの感情移入に、最後まで爆笑が途切れることはありませんでした。

極めつけは「ゆきずりの女を抱いたよ。でも、誰もチリンチリンの代わりにはならなかった…」という徳井の独白。決して日常では聞けないナンセンスな一言であるのに、聞く者の胸に響いてくるのはなぜ?

どこか虚空を見つめながら、まるで何かに取り付かれたかのように語り続ける徳井の姿は、確かに「妄想に駆られて」いるように見えます。この姿を見たくて、誰もがチュートリアルの漫才を聞くようになれば、完全にブレイクを果たしたと言えるでしょう。

ここまで、チュートリアルの漫才が受けた原因の一つには、ブームによって観客の側も全体的に見る目が養われたことが考えられます。しかも、タカアンドトシや博多華丸・大吉、桜塚やっくんなど、ニューカマーが続々登場しています。

こうして、演者と観客がともに進化し続ければ、笑いの世界はよりいっそう深みを増していくのでは。当分このコーナーも、ネタに困る心配はなさそうです(笑)。

【関連リンク】
バラエティ文化論
タカアンドトシ新作単独ライブ タカトシ寄席 欧米ツアー2006 チュートリアルとともに2007年のお笑いを引っ張るコンビです。
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