バラエティなのにドキュメントのような面白さ
バラドルとしての素質は十二分に(松嶋初音 初音色) |
また、スタジオ・トークの合間にインサートされる、放送前と放送後の楽屋の模様によって、ただのバラエティというより、ドキュメンタリー的な雰囲気も醸し出しています。収録前に出演者が一生懸命に作戦を練って本番に挑むものの、思ったようにうまく運ばず、収録後に落ち込んだり反省するアイドルの姿には、哀愁さえ感じられます。
ただ、根本的な問題として「アイドルはそれほどトークが得意じゃない」という事実が、番組にも大きく立ちはだかってきます。そのためなのか、回を追うごとに喋りよりも動きで目立とうとするアイドルが増加傾向にあるようですね。
フラフープしたり、ブリッジしたり、腕相撲したり、プロレス技をかけたりと、まさに肉体を駆使してアピールする姿には、番組タイトルの「グラビアトーク・オーディション」を思わず再確認したくなってしまいます。まあ、面白いからいいんですが……。
中には即戦力選手も
しかし中には、今すぐゴールデンタイムのバラエティで通用すると思われる逸材もいるんです。10人のうち3人が入れ替えられるというルールの中で、ただ1人、初回からずっと勝ち残っている松嶋初音チャンがその人です。一見、クールな風貌に反して、しっかりとツカミもオチもある達者なトークは、周囲のアイドルのハラハラさせる言動と比べると、あまりにも落ち着いていて、逆に面白みがないと思うかもしれません。でも彼女なら、他の番組でも自分の立ち位置を確認して充分盛り上げてくれるでしょう。
ただ、番組の醍醐味はやっぱり、勢いだけで喋った者のどうオチを付けていいのか分からなくなったアイドルや、笑われるのも笑わせるのも一緒と開き直ってしまったアイドルの姿だったりします。爆笑してみているうちに、知らず知らずのうちに感動してしまったり。何にしても、まずゴールデンタイムでは見られない、ユニークな番組であることは確かです。