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二番底の危機?ドバイショックの真相はなんだ?

ドバイショックは世界のマーケットを揺るがせました。こうしたアクシデントにつけこんで人の不安をかき立てる悪魔のササヤキに動揺してはなりません。現実を冷静に知り、理性的に対処しましょう!

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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2009年11月下旬はドバイショックで世界のマーケットが揺らぎました。リーマンショックを連想させながら世界経済のさらなる悪化を予言する悪魔のささやきが聞こえてきます。しかし、健全で合理的な人間として、冷静に対処したいものです。
今回のドバイショックを理解するには、まずドバイという土地柄とUAEという国の構造を知っておく必要があります。その上で、リーマンショックと何が違うのか?をご案内しましょう。

ドバイという国の構造

UAE(アラブ首長国連邦)とは7つの小国による連邦国家です。7つの小国とはドバイ、アブダビなどの首長国で、これらは世襲の首長による絶対君主制により統治されています。しかも、連邦国家の大統領はアブダビ首長の家から、副大統領はドバイ首長の家から世襲により継がれています。つまり民主主義国家ではないということです。連邦のリーダーはアブダビ首長国です。大半の国土を有し、豊富な石油資源に恵まれ、UAEの政治と経済を支えています。

一方のドバイ首長国には石油資源がありません。しかも小さな国です。そこで「原油に依存しない経済」を目指し、観光、金融、不動産開発に力を入れてきました。例えれば香港やシンガポールのような都市を目指しています。近年では、ゴルフ、競馬、カーレースなどの世界大会の誘致に成功し、世界中から観光客を引き寄せていました。そんなドバイの象徴的企業が、今回の返済延期を要請したドバイワールドとナキールでした。
 

政府系持ち株会社の債務とは 

この2社の資金難は今に始まったことではなく、金融危機の直後から懸念されていました。しかし、今回は返済延期宣言があまりに急だったので、衝撃が走りました。2社の債務は約590億ドルですが、ドバイ政府関連の債務総額は800億ドルと報道されています。これらの資金は日米欧の金融機関が融資していますが、約4割はイギリスの大手銀行(バークレイズ、RBS,スタンダードチャータード、HSBCなど)が抱えています。ドバイショックの震源は、直接の影響を受ける欧州の金融機関の経営に対する不安でした。

ここがリーマンショックとは違う

さて、リーマンショックとドバイショックに違いは何でしょうか?まずは負債の大きさが全然違います。

・ドバイの負債は政府系全体でも800億ドルです。リーマンの負債は6,130億ドルと約8倍でした。

・お金の貸借の問題なので第3者への影響は限定的です。リーマンショックはウイルスのような金融商品の侵食で世界中の信用ネットワークを破壊しました。

・ドバイ政府やアブダビ首長国の支援が期待されます。2社ともに政府持ち株会社なので、USAがリーマンに取ったような責任追及の姿勢は連邦国家自らの首を絞めることになります。

 

ノイズに左右されない穏やか心で!

金融を生業とする人が増えたせいで、株価の変動性が高まっています。プロになるほど失敗を恐れみんな同じ方向に回避行動にでます。それは会社に雇われ成績を評価される人間としては当然の防衛です。しかし、私たち個人投資家は、短期的な運用成績の悪化を誰からとがめられることもなく、辛抱することができます。迅速に動く人がいればいるほど、動かない長期投資家が利益を上げることができるはずです。

穏やかに健やかにお過ごしください。
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