表紙を飾るのはもちろんスター。『歌劇』の表紙を飾る……これも生徒の夢の一つでしょう。
ちなみに、表紙への最多出場は榛名由梨さんの17回です。
読者からの投稿を紹介する「高声低声」は、なんと創刊号から続いています。公演や出演者に対する感想の多くは賛辞ですが、歌劇団創立者の小林一三翁の教え通り、褒めるだけではない、劇団や公演に対する批判や指摘など愛情ゆえの辛口な投稿も掲載されていて、ファンが宝塚歌劇を育てている…というのを感じられるコーナーです。
『歌劇』を創っているのは宝塚歌劇団の編集部。編集部の人々を生徒たちは名前で呼ぶこともあれば、“編集部のお姉さん”と呼ぶ場合もあります。
宝塚ファンの方にとっては憧れの職業でしょうが、決して多いとは言えない人数で、200頁もの紙面を毎月企画し執筆し編集する作業は並大抵ではないでしょうね。
過去には『歌劇』の編集にこんな方が携わっています。越路吹雪さんの歌をはじめ訳詞家・作詞家である岩谷時子さんは編集長を務めていらっしゃいました。
その岩谷さんに起用されたのが、宝塚で育ち宝塚ファンであった手塚治虫さん。『歌劇』や『寳塚グラフ』(現・『宝塚GRAPH』)で漫画を描いていらっしゃいます。
他、多くの宝塚をお好きな著名人の方々がコラムの連載などをされてきました。
また同じく月刊誌として『宝塚GRAPH』があります。こちらも歴史は古く創刊は昭和11年。
『宝塚GRAPH』は写真が多いです。見て楽しむ『宝塚GRAPH』、読んで楽しむ『歌劇』といったところでしょうか。
さて、ファンの方にとって『歌劇』とはどんな存在でしょうか…?
今でこそオフィシャルサイトや宝塚専門チャンネル「TAKARAZUKA SKY STAGE」などがありますが、それ以前は、公演のスケジュールも配役も『歌劇』から得ていました。
情報が豊富になった今でも『歌劇』が宝塚ファンにとって宝塚歌劇をより楽しむためのバイブルである理由は、『歌劇』でしか味わえない“魅力ある企画”、内容が大きくは変わらないからこその“愛着”があるからでしょうか。
人気コーナーは何十年と続き、創刊から変わらないA5サイズは手に持ちやすく、紙の持つ温かさは時代を経ても変わりません。
また「書店に並ぶ『歌劇』を何気なく手にとってみて」「宝塚ファンの友人から見せられて」と、宝塚ファンになるきっかけを『歌劇』が作ってくれた……という方もいるでしょう。