宝塚ファン/宝塚歌劇団 トップスターの変遷

宙組トップ・貴城けい、紫城るい―退団(3ページ目)

2007年2月12日――宙組トップスターコンビ・貴城けいさんと紫城るいさんが宝塚歌劇団を卒業しました。短い年月の中、華やかに美しく満開に咲いた素敵なトップコンビでした。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

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白の衣装や軍服、烏帽子などがとてもよく似合う、貴公子タイプ。

そのイメージゆえか、『睡れる月』の式部卿宮、『霧のミラノ』のベルガー少佐など、心を抑えながらも存在を強く見せる役が多かったかもしれません。
彼女の醸し出す気品は、立っているだけで絵になり、言葉は少なくても訴える力がありました。


そんな中「こんな貴城けいもめちゃくちゃイイ!」と感じさせてくれたのが、着くずしたシャツにジーンズ姿の『DAYTIME HUSTLER』エスコートホストのローレンス。

そして、トップお披露目作品の『コパカバーナ』スティーヴンとトニー。
どんな作品でも彼女が登場すると舞台全体がぱぁ~っと華やかになりますが、それをあらためて強く感じさせてくれました。


ある女優さんの言葉を思い出します。
「気品のない役者は、どんなに腕があっても、気品のある役は似合わない。しかし気品のある役者は、気品のある役も、そうでない役も両方こなすことができる。」……

冷と温、明と翳。両極端の役でも、そのどれもが貴城けい。


最後の役となった『維新回天・竜馬伝!』の坂本竜馬。
どこか粗野で無骨な一匹狼的なイメージのあった竜馬を、明るくて爽やかで愛情深く、周囲から愛される自由人に仕立て上げました。


その『維新回天・竜馬伝!』『ザ・クラシック』が、本公演でのトップお披露目公演で、それがサヨナラ公演だということに「本当に、これで退団なの……?」「あまりにも勿体ない……」と多くの観客が思ったことでしょう。


トップスターという存在について、私はこんな風に感じていました。
母親が真の母親になるためには年月がかかるのと同じで、トップスターも同じだと。
元よりトップスターにふさわしい選び抜かれた生徒がトップスターになるわけだけど、トップスターの“居方”のような存在を作るのには年月がかかるものだと。

しかし、かしちゃんを見て、そうとは言えないと感じました。
彼女は、トップスターとしてセンターに立ったその日から、真のトップスターでした。

だからこそ、これからももっと楽しみで、早過ぎる退団が残念なのです。



紫城るい


るいちゃんこと紫城るいさんは、1997年雪組『仮面のロマネスク』で初舞台を踏みました。

同期生には、月組トップ娘役・彩乃かなみさん、花組の愛音羽麗さん、宙組の悠未ひろさんらが。

初舞台後、月組に配属。2005年、宙組に組替え。2006年、花總まりさんの後任として宙組トップ娘役となりました。


主な舞台歴

月組時代(1998年~2005年)

1998年 『WEST SIDE STORY』新人公演/エニーボディズ(本役・叶 千佳)
1999年 『十二夜』サー・アンドルー
2000年 『BLUE MOON BLUE』ベル
  『LUNA』イレーネ
2001年 『血と砂』チリーパ/ダリ・フユエンテス
2002年 『ガイズ&ドールズ』新人公演/アデレイド(本役・霧矢大夢)
  『SLAPSTICK』メイベル *バウ初ヒロイン
  『長い春の果てに』新人公演/エヴァ(本役・映美くらら)
*初ヒロイン
2003年 『シニョール ドン・ファン』新人公演/ジル(本役・映美くらら)
  『薔薇の封印』サラ/アンリエット
2004年 『愛しき人よ』川島芳子
  『THE LAST PARTY』ゼルダ
2005年 『エリザベート』リヒテンシュタイン伯爵夫人
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