宝塚ファンの方々、また生徒(タカラジェンヌ)の中にも「全国ツアーで初めて宝塚を観てファンになった!」という人も多いでしょう。
宝塚歌劇団では年に3回の全国ツアー公演を行っています。
1回の全国ツアーの公演期間は1ヶ月弱。その間に10都市以上の劇場を回ります。公演期間は1劇場につき1日だけのものもあれば、3日ほどの場合も。
こうした本拠地の劇場以外での公演は、宝塚歌劇団創立の大正3年から行っています。最初は関西近郊の劇場のみでしたが、現在のように各地を回るようになったのは昭和10年代から。全国ツアーはこんなにも古くから続いているのです。
全国ツアーを行う組は毎年違い、その年のスケジュールによって決められます。2006年は、雪組、月組、花組。2007年は月組、雪組、宙組。
出し物は、宝塚大劇場や東京宝塚劇場で上演された本公演作品。
最近上演されたものが主流ですが、以前上演された作品を再演という形で持っていく場合も多々あります。
出演者は約35名ほど。1組の組子の人数が80名~90名ですから、半数以下ということになります。
では“全国ツアー公演に出演しない生徒は?”というと、他の劇場(宝塚バウホールや梅田芸術劇場など)での特別公演に出演したり、オフの生徒もいます。
全国ツアーについての概要は上記ですが、ではここから……本公演と全国ツアーの違いをお話しましょう。
出演者の人数
80名~90名で上演していたのに、全国ツアーでは半数以下の約35名というのは大きな違い!これは、各劇場が宝塚大劇場や東京宝塚劇場ほどの規模がなく大勢出演させられないという理由や、同時期に特別公演もあるからです。
全体の出演者が半数以下になることにより、主な配役を除く各場面の出演人数も変わってきます。各場面の出演者を減らしたり、時には登場人物がカットされたり。
出演者数が減っても、本公演となるべく変わらぬ華やかさを出したいもの。
なので、本公演ではあまり出番のなかった下級生もたくさんの場面に出ることになったり、本公演より大きな役が与えられ、活躍の場が増えます。
それを楽しみにされるファンの方も多いでしょうね。
演出
本公演と配役が違う、場面ごとの出演者が違う、前回上演されたのが何年も前…の作品もありますから、当然、演出も改変されます。出演者の違い以外で大きなものは、舞台機構の違いによる改変。
宝塚大劇場や東京宝塚劇場には盆やセリ、銀橋、花道、大階段などの舞台機構があり、これらをフルに使う演出方法がなされていますが、これらの設備が同様の劇場はありません。
「銀橋を通る場面は、本舞台の最前列または客席に降りて…」「セリ上がりは、舞台袖から登場」「花道に出る人数は○名に減らす」などなど。
ちなみに宝塚名物の大階段は、全国ツアー用に段数の少ないものを使います。