「白夜伝説」のミーミル役で彗星のごとく現れた花總まりさん。それは麻路さきさんの相手役、二番手格の役でした。
研2とは思えない堂々とした、そして可憐な舞台姿。誰もが未来の娘役トップを想像したに違いありません。
その後も研3で新公初ヒロイン、研4でバウホール公演初ヒロイン。 「風と共に去りぬ」の新公は、ヒロインというよりまさに主演。
そして研4の終わりで一路真輝さんの相手役として雪組トップ娘役に。
その後、高嶺ふぶきさん、轟 悠さん、姿月あさとさん、そして和央ようかさんと、5人ものトップスターの相手役を務めました。
トップ娘役として12年間。これまでにこんな娘役はいませんでした。
そして、これだけ多くの魅力のある役を演じた娘役もいなかったでしょう。
宝塚の代表作とも言える作品のヒロインの数々。
エリザベートは、1996年初演、そして1999年の再演と二度演じました。
匂いたつような色香を感じさせたメルトゥイユ侯爵夫人、魅惑的なカルメン、おちゃめなジャンヌ・ダルク、清楚なクリスティーヌ。
冷酷で氷のような狂気の女トゥーランドットは、彼女のほかに考えられません。
「シトラスの風」の花占いの少女、「ダンシング・スピリット!」のネズミS、「満天星大夜總会」のHANACHANG、「レヴュー伝説」のジジなど、ショーでのチャーミングな役も彼女ならではの可愛らしさ。
彼女の凄いところは、常に新鮮。
これだけのキャリアを持ちながら、慣れを全く感じさせない…
持ち合わせる引き出しをどんどん増やしつつ、実力を上げつつ、それをちゃんと出しながらも毎回リセット。
「上手い」という言葉は軽くてあまり好きではありませんが、やっぱりはなちゃんは上手い。いや、美味いかな。
それは天性の素質、彼女の努力はもちろんですが、花總まりを育てた5人のトップスターがいかに素晴らしかったか…と言えるでしょう。
涙をこぼしながら台詞を言う姿が美しく、私はそれが大好きでした。