172cmの長身で顔が小さく、まるで男役になるために生まれてきたような容姿と存在感で、初舞台から注目されていた和央さん。
研2で「ベルサイユのばら」の新人公演でオスカルを与えられた後も、次々と大きな役をこなしてきました。
花總まりさんというベテランを相手役とし、宙組2代目トップスターに就任した時、他組のトップは、花組・愛華みれさん、月組・真琴つばささん、雪組・轟 悠さん、星組・稔 幸さんという同期生4名で、彼女らより数年下の和央さんは、フレッシュなトップとして話題を呼びました。
ナチュラルでスタイリッシュ。これまでの誰にも似ていない新しいトップスター。
宝塚がどこか苦手だったのに、和央ようかを通して宝塚に興味を持ったという人も多いでしょう。
ルドルフやフェルゼンなど、洗練された貴公子はひたすら美しく。
強引で荒々しく野生的なカラフやピエール、レット・バトラーは魅力的。
レオナードやケビンの翳りやスーツ姿のかっこよさ。
代表作となったファントムは優しく人間味にあふれ、観る者誰もが涙しました。
得意なダンスはいつもパワフルで、彼女が真ん中に立つと、それは宝塚歌劇のショーやレビューというより、人気アーチストのライブのような熱さ。
どこまでも広がる歌声は、初めは歌が苦手だったとは信じられないほどの迫力と温かさがあり、歌を主体としたミュージカル作品にもなくてはならない存在でした。
見得を張るような台詞も、彼女が言うと違和感が全くない。
TVドラマのようなナチュラルな芝居も、ナチュラルでありながら説得力がある。
彼女の演じるすべてが“芝居”ではなく、“真実そのもの”に感じられました。
ただそこに立っているだけで、いろんなドラマを想像させ予感させてくれる舞台人。
一つだけ残念だったのは、最後のライブショー「W-WING-」でフライングから落下し、大怪我を負い公演が中止となったこと。
どれほど多くのファンが残念に思い、そしてたかちゃんを心配したことか…
それ以上に本人が悔しかったか…。それだけが無念でたまりません。