“古風な…”とか“正統派娘役”と、何度も言われてきたことでしょう。(ご本人は、そう形容されることをうれしいかどうかはわかりませんが…)その通りだと感じます。
清楚で清純で可憐で、男役を引き立てる人。相手役によって、その時演じる役によって、透明に色を付け、変化させてゆく…。時にはピンクに、時には赤に。
経験豊富でいながら、いつまでもで初々しい娘役であり続けた人。
香寿さんと同じく、渚さんも下級生のうちから、芝居、歌、ダンスの実力を評価されてきました。かわいらしい役、『ハウ・トゥー・サクシード』のスミティのようなコミカルでキュートな役もこなし、それがやがて、清楚でいながらも芯の強い女性の役が似合う貴重な存在となりました。
彼女よりも下級生であった大鳥れいさんがトップとなり、渚さんの役どころは、娘というより大人の女の役に。二番手娘役というポジションながらも、もう一人のヒロインとも言えるような役を演じてきたのも、やはり彼女の実力でしょう。
大人の女性も素敵ですが、彼女本来の持つかわいらしいチャーミングな女性を、もっと見てみたかった…と残念です。
トップ就任時に香寿さんは研16、渚さんは研14。“遅咲きのトップコンビ”でしょう。しかし、だからこそ、長年の努力から生まれた双方の実力と、多くの経験が、安定した舞台を見せてくれました。
新人たちがどう頑張っても追いつけない“熟”――“大人を演じることのできるコンビ”――。
またこの二人は、出逢うべくして出逢ったコンビです。香寿さんにとってバウ初主演の相手役は渚さん。渚さんにとって新公初ヒロインの相手役は香寿さん。双方の何度もの組替えによって、出逢い、別れ、出逢い、別れ……そして最後に、それまで知らなかった星で出逢い、そして添い遂げた……。まるで初めから、その運命だったような。
サヨナラショーでの『この恋は雲の涯まで』『セ・ラムール』の主題歌……二人はどんな想いで歌ったのでしょうか…。
もっともっと見たかったですね…。円熟した恋人…いえ、夫婦の舞台を。