昭和2年『モン・パリ』の上演と共にお目見えしたのが、宝塚のシンボル・大階段。フィナーレに出演者全員が降りてくる、アレです。大階段を使ったフィナーレが一番華やかで、宝塚らしい場面と言えるでしょう。

大階段がお目見え当時はまだ16段で、手動で組み立てるものでした。それが段々進歩し、やがて段数は26段、設置の仕方もコンピューターでの自動制御となりました。

使われていない時の大階段は、舞台奥のホリゾントに立て掛けられているような状態で置いてあります。それが舞台全面に少しずつ迫り出して来ます。この間、約2分半弱。

大階段が迫り出してくる状況を演出上、観客に見せる場合もありますが、ほとんどの場合カーテン幕などで隠し、その間裏で設置します。ショーがそろそろ終わる頃、カーテン幕で本舞台が隠されたら、大階段を設置しているなぁ~と思って下さい。
出演者である生徒さんたちは設置の邪魔にならないよう、ぶつからないように、早替りや出番のため、ホリゾントを上手や下手に移動しています。

段数は全部で26段。1段の幅は23cm。こうして数字で見るとあっさりしていますが、とんでもない! 大階段の恐怖、行ってみましょう。

宝塚をご覧になったことがない方はご存知ない(当たり前…)と思いますが、この大階段は下りるだけでも相当怖いモンです。なぜなら、基本は“顔は客席ぃ~”——つまり、足元を極力見ないのが決りだから。そしてもちろん手摺なんかはない。手にはシャンシャンなんぞを持ち、歌を歌いながら、満面の笑顔でタカラジェンヌたちは降りてきます。

幅23cm。これも曲者です。必ず足先が出るわけです。だって階段を上り下りする時に、階段の一番奥にまで足を突っ込む人はいないでしょう。足のサイズが小さい人でも、思いっきり不安定な状態になるわけです。

この大階段、上り下りするだけではありません。走ったり踊ったり、何を血迷ったのか、この上でリフトまでしてしまいます。おまけに着ている衣装がアレです。裾の引きずるドレスだったり、20キロ近い羽根を背中に背負っていたり。

と……初心者の方には大階段がどれほど怖いものかが少しはおわかりいただけたと思います。
では、中級・上級の方へ、大階段でのこんな苦労話。