東大合格した子の親の放任主義と、迷惑行為を叱らない親の違い
友達のおもちゃを取り上げる、滑り台の順番抜かしをして先に滑ろうとする、電車の中で走り回る、子どもがこのような振る舞いをしていても、親は知らないそぶり。そのような状況に出遭ったことはないでしょうか。傍に親がいるにも関わらず、人に迷惑をかける子どもの行為を注意しない、そのような親の言い分として「うちは放任主義で育てています」と、子育て方針を出してこられることがあります。
一方、子育てに成功した親や、子どもが有名大学に合格した親の中にも、「放任主義で育てました」と話されているのを聞くことがあります。
果たして「放任主義」とは、子育てにおいて本当によいのでしょうか。疑問を感じられる方も多いと思います。実は、この前者と後者、2つの「放任主義」は全く異なるものですが混同されがちです。
放任主義の子育てと、ほったらかし子育ての違い
前者の子どもが他人に迷惑をかけていても注意しないというのは、実は「放置の子育て」で、子どもを「ほったらかし」にしている状態です。そして後者の子育てに成功した親が行っていたのが本来の「放任主義の子育て」といえるでしょう。
では、「放任」と「放置」は、どのように違うのでしょうか。
「放任」を辞書で調べてみると、
「干渉せずにほうっておくこと。成り行きにまかせておくこと」とあり、
「放置」とは、
「ほうったままにしておくこと。また、置きっぱなしにしておくこと」(三省堂 大辞林 第三版)とあります。
両方とも「ほうっておくこと」とあり、似ているように感じることでしょう。ですが子育てにおいて大きく異なる点は、それ以前の親の関わりです。
信頼関係の上の放任主義と、無関心のほったらかし
放任主義の子育ては、
「子どもに生きていく上で必要な規範の遵守や躾がなされた上で、子どもを信頼して、子どもの自主性に任せること」
放置の子育ては、
「社会の中で生きていく上での基本的なことを教えず、子どもに無関心であること」
といえるでしょう。
ですので、放任主義で子育てに成功した、子どもが有名大学に入学したという親は、子どもの自主性に任せていても、自ら勉強し、規則やマナーを守ることができるように、人生の早い段階で、教え導き、身につけさせているのです。
その関わりを飛ばし、子どもがゲームを何時間していても、マナー違反の振る舞いをしても、したいようにさせることは、放任主義とはいいません。それは「ほったらかし」「子どもへの無関心」といえるでしょう。
「放任主義の子育て」を成功に導くための5つのチェックポイント
放任主義の子育てを成功させるために、それ以前に行っておくべき子育てのポイントを5つにまとめましたので、参考にしてください。
■ポイント1. 危険な行為急に道路に飛び出す、危険な刃物を触る、夜遅くまで帰宅しないなど、子どもの身に危険が及ぶようなことをすれば、厳しく注意しましょう。
■ポイント2. 他人への迷惑
友達や人に迷惑がかかるような行為、例えば順番を抜かす、友達のモノを取り上げる、公共の場で騒ぐなどは、もちろんしっかり叱って、ルールやマナーを守ること、相手の気持ちを思いやることを教えましょう。
■ポイント3. 規範意識
信号は青で渡る、幼稚園や学校の規則を守る、家庭内での自分に役割を果たすなど、規則や自らの役割は守れるように指導しましょう。
■ポイント4. 学習状況や提出物
宿題や提出物は、きちんと提出しているか、学校での勉強は理解できているか、学習状況などを親は把握し、子ども自身が予定を立てて達成できるように促しましょう。
■ポイント5. あいさつや感謝の言葉
「おはよう」「いただきます」などのあいさつや、「ありがとう」の感謝の言葉は、常日頃から、言うように習慣づけておきましょう。
これらのポイントをチェックし、できていれば、親が干渉しすぎたり、過保護すぎるのは、よくないでしょう。子どもの自主性に任せ、思うようにさせてあげましょう。
ですが、これらのどれか一つでもできていないようでしたら、その点に関しては、親が丁寧に注意したり、叱ったり、教えながら身についていくよう関わってあげてください。
放任主義とは、それらが身についた上で、はじめて成り立っていくものです。
「放任主義の子育て」を成功させるには、叱るべき場面では叱る
放任主義の子育てと、ほったらかしの放置の子育ては、根本が大きく異なっているのです。「放任主義」は、親子の信頼関係の上に成り立つものです。ほったらかしや放置の子育ては、親の無関心からのものです。放任主義の子育てを成功させるには、叱るべき場面では、しっかり叱る必要があります。またあいさつや感謝の言葉は、人間関係を築いていく上で、最も基本的なことですので、親もお手本になるよう日々の生活を送りましょう。
これらをしっかり子どもの身につけた上で、過干渉や過保護にならないように、子どもの自主性に任せることが、本来の「放任主義」の子育てといえるでしょう。
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