生産から廃棄まで、トータルな品質基準
また、ベビービョルンのテキスタイル(布)製品は全て、エコテックス規格100と呼ばれる安全性の国際規格の認証を受けています。「乳幼児の敏感な肌が触れるものの素材は、絶対的に安全で有害物質の含まれていないものでなければならない」という信念で、特定農薬、発がん性・アレルギー性のある染料などを使用せず、pH値にまでこだわったベビービョルンのテキスタイル製品。生産、使用、廃棄までトータルな品質基準をクリアした同社の製品には、世界各国で大きな信頼が寄せられています。赤ちゃんがパパママと同じ方向を向いて抱っこされる「前向き抱っこ」が特徴であるベビーキャリアのデザインの中にも、品質へのこだわりが随所に見られます。まず、「片手装着」。調整・装着が前面のみでできることにより、ユーザーの利便性をアップします。ですから、例えばベビーカーに乗っている赤ちゃんがぐずってしまったとき、ベビーカーから抱き上げてベビーキャリアに収めるまでの間に、赤ちゃんから両手を離して装着するというワンステップを必要としません。赤ちゃんとのスキンシップが親子の安心と信頼を育むという児童心理学上の効果からも、もっと気軽に、簡単に、いつでも抱っこしてあげて欲しいというベビービョルンの気持ちが表れているのだそうです。
そして「セパレート構造」にもこだわりがあります。肩ひもの幅が広く、背中でクロスしているデザインは、セパレートだからこそ可能。この肩ひものお蔭で、赤ちゃんの重さが下方向と斜め方向へ分散し、パパママの負担を軽くしてくれるのです。さらに進化したベビーキャリアアクティブという商品では、重さを腰も含めた3点に分散。長時間の抱っこを可能にしてくれます。
セパレートでない他社の商品は、肩ひもは左右ストレート。左右の肩に直に重さを受ける構造では、確かに抱っこはつらいものになってしまうでしょう。そして、調節ベルトにも裏話が。世界規模で展開するベビービョルンの商品は、大きいパパでも使えるゆったりとしたベルト長。ちなみに米国版は、国民サイズに合わせてさらに少し長いとのことです。
セパレートであるが故に、最近の日本のパパママにはちょっとした裏ワザ使用法が広まっているのだとか。コートやジャケットの下にベルトだけ仕込んでおき、ベビーカーの中でベビーが泣いたらカチリカチリとスムーズに本体を装着、そして抱っこ。ファッションを損なわない、スマートな育児ですね。
大人気商品のプラスチックスタイ。子どもの食べこぼしをキャッチするデザインは、20年以上変わらない |
「このようなモノづくりへのこだわりがあるために、新商品がなかなか出ないんですよ」と、深井さんと濱田さんは苦笑い。
ファッションの中でどう映えるかに配慮
スタイルへのこだわり。それは、ベビービョルンらしい色使いの中に、はっきりと現れています。色選択の基準となる絶対条件は、その色が男女共に似合うものかどうか? 両親のファッションに映えるか? そして、販売される地域によって偏りのある色ではないか? の3つ。
商品のカラーとは、ブランドが伝えたい空気を表すもの。トレンド、ファッション、各国での売れる色も加味しつつ、基本的にはシンプルであることを心がけているそうです。日本のメーカーにありがちな「モノ自体を愛らしく演出する」傾向とは異なり、ベビービョルンの色選びは「置いたインテリアの中でどう映るか、身につけているときにどう映るか」という視点で行われます。
環境にフィットし、満足され得るか? という考え方は、同社のプラスティックプロダクツにも現れています。子どもから見て魅力的なように、選べる複数のカラーバリエーションで展開。ベビービョルンのブームはハリウッドスターが好んだことに端を発しています。ベビービョルン愛用者にはセンスの高い人が多いのにも、納得ですね。