⇒「何のために勉強するの」にどう答えますか
≪INDEX≫
1:「将来のためにも今、頑張りたい」と思う小学生は半分以下・・・P1
2:リーダーにも、人気者にもなりたくない・・・P2
3:友だちとの調和志向という「圧力」?・・・P2
「将来のためにも今、頑張りたい」と思う小学生は半分以下
日本の子どもは、明らかにゲームやテレビの時間の長さが目立つ |
北京、ソウル、東京の各都市でそれぞれ約2000人の小学生高学年男女を対象としたこの調査では、就寝時間や一日の勉強時間・遊び・家の手伝いなどに関してかなり詳細な情報を掲載しています。しかしそこでは、まだ明確な目的意識と規範を持つ中・韓の小学生の暮らしと、「何をしたいのか、したくないのか」が決してはっきりとは伝わってこない日本の小学生の姿とのコントラストが浮き彫りになりました。
北京では、「家族」を中心とした食に代表される生活習慣が軸となり、他の2都市に比べて長い学校を終えて帰宅した後、宿題や予習復習、家事の手伝いをし、その合間に時間を見つけて遊ぶ姿が見えてきます。一人っ子ながら家族の中で生活規範を教えられながら育つ、比較的古めかしく「懐かしい」子どもの姿という印象を受けます。
日本よりも高い受験熱が頻繁に報道されるソウルでは、小学生達の平均勉強時間は東京・北京に比べてかなり長く、その分家事の手伝いや外遊び、生活習慣などが影響を受け、就寝時間や起床時間も遅くなりがちな傾向にあります。日本も以前に問題視された個食(独りで食事をすること)や、朝食を食べない姿も表れており、少し前の日本の子どもの姿を彷彿とさせています。
そして日本では「無茶な勉強」「無茶な食生活」は陰をひそめ、むしろ他の2都市に比べて非常に長い自由時間(2時間半以上が40%以上)を持ち、親も口うるさく干渉せず、勉強も生活習慣も適当にやっている、そんな小学生像が見えてきます。
どの国の小学生も、程度に差はあれテレビやマンガ、ゲームが好きで、中国などはかなり厳しく制限されてはいるものの、折を見て楽しんでいるようです。学校に関しても、中国の小学生はおおむね「楽しい」と答え、日韓の小学生も「まあ楽しい」としながら、友達を作って上手にやっているようです。
際立つ親の不干渉
しかし、日本の小学生には、中国・韓国の小学生たちと比べて明らかに異なる傾向があります。それは、親の際立つ不干渉。そして、長い自由時間の中で許される、明らかに長いゲームやテレビの時間。さらに、「目的意識の不明確さ」です。日本の親は、他の2都市に比べて明らかに「ものを言わない親」です。勉強や成績、友人関係について、まず口をはさまない。顔を洗え、歯を磨け、家事を手伝えなどと生活習慣も口うるさく言わない。テレビやゲームも厳しく制限しない。そして、先生の言うことを聞け、挨拶をしろ、うそをつくな、約束を守れ、人の迷惑になることをするな、などの「基本的なこと」もほとんど言わない。
それを好意的に理解するならば、日本の小学生が、大人に言われなくとも適度にお行儀がいい子どもたちであるということの裏返しなのでしょうか? しかし、日本の大人の際立つ不干渉には、むしろ「子どものことに口うるさく言わないのがいい親だ」という共通認識があるように思えて仕方ありません。
もう一点、日本の親がほとんど子どもに言うことのない言葉があります。それは「よく勉強すれば、将来いい仕事がある」。中韓の親の半数以上、6~7割がよく口にするのに対し、日本のおよそ同じ割合の親が、そんなことを言いません。
その反映なのか、「将来のためにも、今、頑張りたい」と考える日本の子どもは48%。(どちらかというと)そう思わない子どもは、約22%。中韓の7割以上の小学生が「将来のために頑張りたい」と答えているのと対照的です。
「努力をすれば、きっと将来いいことがある」とは決して子どもに言えない、日本の大人たち。飢えることもなく豊かになり、経済成長期の上昇モデルが通用しないがために努力する目的も見出せない「美しい国、日本」の小学生達は、どのような大人に育って行くのでしょうか。
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