オシャレで子煩悩、しかし「浮気に積極的」!?そんなちょいモテパパの出現に、家族のラグジュアリーを追求する男性誌『OCEANS』編集長・大久保清彦氏から鋭いひと言!「あなたに一番大切なものって、何?」
≪INDEX≫
1: ちょいモテ男パパの出現?・・・P1
2: 高級男性誌『OCEANS』に聞く!・・・P1
3: 『OCEANS』大久保編集長、語る ~僕が『LEON』を飛び出したわけ・・・P1
4: 「愛されるパパ」のために、『OCEANS』立ち上げへ・・・P2
5: 「モテパパ」とブランド観・・・P2
6: 「家族の絆」 ~勝負どころは、土日の濃さ!・・・P2
7: ちょいモテ男パパへ贈る言葉 ~あなたのハイライトは、どこ?・・・P3
8: 他にやることあるだろー!?・・・P3
ちょいモテ男パパの出現?
2006年春、読売広告社が興味深い調査を発表した。「NEOパパ研究プロジェクト」と題されたその研究結果は、イマドキの30-40代パパたちの価値観を調査し、その傾向を分析、5つのタイプ(クラスター)を引き出した。報告によれば、優等生エリートパパ、すれ違いファミリーパパ、住圧ローンパパなどの秀逸なネーミングに混じって、「ちょいモテ男パパ」なる層が出現したというのだ。父親であると同時に、「カッコいい男」としての自己実現も追及する。ファッションへの関心が非常に高く、ブランドに執心し、子どもにも甘い。ならばさぞかし「家族大好き」かと思いきや、「浮気の一つや二つしても、構わない」と浮気に積極的で離婚に寛容な顔も持つ。
この調査を読んだガイド河崎は、なんとも言えない「ひっかかり」を感じてしまった。
オシャレで子煩悩、でも浮気の一回や二回は仕方ない、という感覚。そんな男にとって、「家庭」って何なんだ。「自分の分身」、かわいい子どもが育つ環境じゃないの?そこがなおざりになっていて、何が「子どもがかわいい」なんだろう。てゆーか、「浮気するパパ」に妻や子どもがついて来てくれると思うのは、甘えじゃない?
要は自分かわいさじゃないんだろうか。仕事も家庭も趣味も「遊び」も全て持ってるオレ、が好きなんじゃないの?「オレってカッコいー」、みたいな?そんなパパにとっては、「ペットじゃない、人格を持った人間」を育てる作業である、子育てさえもファッションの一部ですか?子育て中の妻の立場としては、ついそんなイジワルな気持ちが頭をもたげてしまうのだ。
ラグジュアリー男性誌『OCEANS』に聞く!
『OCEANS』。あの「ちょいモテオヤジ」の男性誌『LEON』の中核を担った、稀代の敏腕編集者3人が、LEONを飛び出して創刊 |
ちょいモテパパのために創られたような雑誌だなー、と思った(のちにそれは誤解だと知るのだけれど)。編集部は、メイン読者層のちょいモテパパ(だから誤解だって)を、どう考えているのか。さくっと聞いてみたい。
そしたら何と、大久保清彦編集長みずからインタビューに応じて下さるという。非常に多忙な方なのに、超快諾である。LEONを創った男(ひと)の「ファミリー観」に、モーレツに興味が湧いたガイド河崎。取材するにあたって、一つだけ必ず聞こうと決めていたことがある。
「ちょいモテ男パパへ、大久保さんならどんな言葉を贈りますか」
「頑張れよ」?「おいおいちょっと」?
彼は、何と言うのだろう。
『OCEANS』大久保編集長、語る ~僕が『LEON』を飛び出したわけ
OCEANS編集長 大久保清彦氏 |
OCEANS編集長 大久保清彦氏(以下、大久保編集長):今まではオジさんのための雑誌と言ったら、ビジネス誌か週刊誌がほとんど。仮にファッション誌があっても、スーツとネクタイばっかり。新しいカテゴリ・市場を創る必要があったんです。「モテる」、というキーワードを前面に出して、「オジさんがオシャレしてもいいんじゃない?ファッションを楽しもうよ、カッコよくなろうよ」と高級男性誌『LEON』で訴えました。すると大きなブームが起きて、「ちょいモテオヤジ」が流行語大賞にもなって、仕掛けた側としてもマーケットの手ごたえはひしひしと感じましたね。
でも、僕はLEON4周年の手前で辞めました。LEONがテレビで色モノとして、嬉々として大々的に扱われるのを観て、この雑誌の役目は終わったと思ったんですよ。その後、「ちょいモテオヤジ」が流行語大賞にノミネートされたのを見て、「本当に辞めてよかった!」。ブームは必ず去るモノだから……と。50人中50人が読んだら終わり、つまり初めは少数派だった「ちょいモテオヤジ」がマスになったら、もういいやと。ブームがエスカレートして大メジャーになるにつれて、「ちょいモテオヤジ」が陳腐化してしまったんですね。
ガイド:「ちょいモテオヤジ」といえば、艶男と書いて「アディオス」とか、日焼け肌にシャツの胸ボタンを2つ以上開けて、高級ブランド品をこれ見よがしに身に着けて……と、最近は戯画化された部分もありましたね。
大久保編集長:僕としては「ちょいモテオヤジ」の「ちょい」の部分に大きな意味があったと言うか、ちゃんと世間と折り合いをつけて、それでもオシャレなオジさんというのが粋ですよ!というのを目指したわけですけれども、エスカレートするにつれて、その「ちょい」の部分は失われていった。ブームは終わったんです。で、ブームが終わったのを知っているのに、まだ演じるのはカッコ悪いと思ったんですよね。
僕は「継続する視点」にこだわりました。皆が踊るマスメディアではなく、「こういう人に読んでもらいたい」という、具体的な読者像が特定できるターゲットメディアをやりたいと。マスではターゲットが見えないんです。ニッチの面白さにとり憑かれてしまった。だから僕たち(大久保編集長、干場・太田両副編集長)は、実はLEON辞めたあとニートなプー期間もあったんですよ(笑)。