「歯並びが悪くなるからやめたほうがいい」「くせになる」と、日本では特に年配の方に評判の良くない、赤ちゃんのおしゃぶり。しかし最近ではむしろ使用したほうが歯並びが良くなるという研究や、公共の場で泣かせるよりはいいなどの考えから、おしゃぶりを赤ちゃんに使わせることに抵抗が少なくなってきた風潮も。

こんなおしゃぶりをめぐって、つい最近日本と米国で発表された小児医療団体の方針は、全く逆の内容に!この「おしゃぶり」、現代日本の若いママ達はどちらの考えを支持する?

日本:おしゃぶりはなるべくやめよう

日本では、昔からおしゃぶりは歯並びを悪くする、欲求不満の現われ、くせになるなどと言われ、赤ちゃんがおしゃぶりをくわえていると年配の親戚に引っこ抜かれるような「悪いイメージ」があった。育児用品メーカーの努力もあり、一時はおしゃぶりも「決しては並びを悪くするわけではない、むしろ歯並びを整える」と、おしゃぶり肯定の風潮が出、街行くベビーが洒落たデザインのおしゃぶりをくわえている姿も多く見られてきたが、その潮流は逆行することになるかもしれない。

おしゃぶりの使用を控えようと言う日本と、むしろ積極的に推奨する米国
おしゃぶりの使用を控えようと言う日本と、むしろ積極的に推奨する米国
日本小児科学会や日本小児歯科学会などの会員でつくる検討委員会が昨年1月に発表した内容によれば、「おしゃぶりは出来るだけ使用しない方がよい」との意見だという。就寝時に使うなど、長期間の使用で歯のかみ合わせが悪くなるなどの悪影響が重視された。どうしても使用するなら1歳までに常用をやめ、2歳半までには「卒業」するべきだという。歯が揃い始める時期である、この年齢の設定にも、「歯並び」に対する注意の高さがうかがえる。

日本の赤ちゃん(24ヶ月未満)のうち、おしゃぶりを使っているのは約28%。その用途はぐずりを落ち着かせる、鼻呼吸の練習、寝かしつけなど。寝かしつけに使っている場合は、必然的に使用は長時間で、頻度も高い。寝ぐずりがピークになる1歳までに常用をやめるというのは、なかなか難しい?

米国:就寝時のおしゃぶり使用で突然死予防!

一方で米国のごく最近の調査では、特に眠っているときのおしゃぶりの使用で乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが減らせると発表され、話題を呼んでいる。

米国の非営利民間団体と米国立小児保健発育研究所(NICHD)のチームが発表した論文によれば、最近4年間にカリフォルニア州で突然死した乳児185人と、そうでない312人のデータを比較。SIDSを引き起こしやすいリスクとしては、窒息の可能性のあるうつぶせ寝や、母親の喫煙などが知られているが、同じようなリスク環境でも赤ちゃんが就寝時におしゃぶりを使っていることで突然死を防げていることが明らかになった。

その理由としては、主に寝具や柔らかなぬいぐるみなど赤ちゃんの窒息を引き起こしやすいものが顔にかかっても、おしゃぶりの付属パーツが顔への密着を防いでいることなどが挙げられている。これを受けて米国小児科学会は、SIDS予防におしゃぶりを推奨すると発表した。

米国はもともとおしゃぶりに寛容な文化で、自分で立ってしゃべっているような3歳児や4歳児までもがおしゃぶりをくわえて街中を歩いているほど。

育児文化の違いとはいえ、それぞれに権威ある小児医療団体が、まったく異なる見解を示すおしゃぶり。さて、現代の子育てママは、おしゃぶりをどう使う?

●乳幼児突然死、おしゃぶり使えば大幅減 米グループ発表
2006年01月02日(朝日新聞)


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