お金持ちが幸福というわけじゃない

所得が上がって幸せなのも、1500万円まで?
所得が上がって幸せなのも、1500万まで?
世帯所得と幸福感の関係では、所得が上がるにつれて幸福感が上がっていくことが報告されている。しかし、「所得の飽和点」とでも言うべき上限があり、年間世帯所得1500万円までは幸福感は所得と正比例するものの、1700万円、1900万円では幸福感は低下している。

高所得であることが、必ずしも天井知らずに幸福感を高めるわけではなく、高所得には高所得なりの気苦労や、所得に見合ったストレスもあるのかもしれない。

パート主婦は専業主婦より不幸である?

職業別の分析では、販売職、サービス職、農林漁業などで幸福度が低く、管理職、専門・技術職、無職主婦(主夫)、学生の幸福度が高い。所得の高い職業、社会的地位の高い職業では満足度が高いと考えられるので、さもありなんと思われるが、主婦(主夫)を有職(パート)と無職に分けた場合、有職主婦は無職主婦に比べて幸福度が低くなる。

経済学的には専業主婦が一番幸せ?
経済学的には専業主婦が一番幸せ?
いわゆる「パートに出る」という発想から、世帯所得の高低が有職主婦と無職主婦の幸福感に違いを与えているのかというと、そうではないようだ。所得を調整しても、同じように有職主婦の幸福度は低く、筒井教授はこれを「労働が不効用をもたらしているのではないか」、つまり、働くことがストレスになっているのではないか、と結論している。

この点には異論もあるだろう。家事労働は労働ではないのか、という議論もあるだろうし、心理学的、社会学的には、女性が家事労働以外に職を持つことの有意義性は、実証されてきたからである。英米に限れば、女性のほうが男性よりも仕事への満足感が高いという報告もされており、有職主婦の幸福度の低さは、仕事そのもののストレスではなく、仕事も家事も育児も、「あれもこれも」背負ってしまわざるを得ない状況へのストレスなのではないか、という気もしてくる。

【知っておきたい、女性の「うつ」】

経済学では「労働は不幸」


この研究で「男性が女性よりも不幸」、「パート主婦が専業主婦よりも不幸」とされる根拠は、経済学におけるレジャーの効用と、その反対概念である労働の不効用にある。学生の幸福度が高いのは、「労働の必要がなく」、「高学歴と、その後の高収入が期待され」るからだという。経済学においては、つきつめれば「労働は不幸」となり、その点においてこの研究結果は整合性を保っている。

主観的な幸福感を、数値化して大規模に調査したものとしては、この研究が日本で初めてだとか。経済学の視点では、社会学的、心理学的な「常識」とされるものとは大きく違う分析をするというのも非常に興味深い。さて、あなたはこの研究を読んでどう考えますか?

「なぜあなたは不幸なのか」大阪大学社会経済研究所・筒井義郎教授ほか(PDFファイル)


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