親たちの発言
「メーガン法」シリーズには、子育てに関わるユーザからの真剣な声が寄せられた。
・「彼らは再犯する」(20代女性)
メーガン法の議論は、お決まりの犯罪者の人権ばかり手厚く守るような論調が多くて辟易しています。
なかには「神戸のサカキバラみたいな奴が隣に住んでたと知ったらどうするっ」なんて意見もあって、だったらソイツがまた悪さをしない様に町内みんなで見張るしかないのよ。一度、人の道を踏み外したら不信の目で見られるのは当然の報いだし、それに耐えて人々の信頼を勝ち得てこそ真の更生だと思う。少なくとも犯罪者が過去を隠し都会の雑踏に紛れ、ふたたび無辜の市民を手に掛けるのは許し難いと思います。
市民の監視が人権とやらに引っ掛かるとしても、性犯罪者の再犯率が一般市民の性犯罪率よりはるかに高いのは事実だし、漫然と無責任に更生を願うのでは納得できないです。今の時代に去勢が残虐だというなら、人道的な手術方法を刑務所でするとか、男性の機能を止めるような薬を埋め込むとか、犯罪者を街に放つ前に再犯不能にする処置も必要でしょうね。
・「加害者には社会的制裁を」(30代女性)
性犯罪者に限らず、何故このような議論が出るのか。 それは犠牲となる犯罪の対象者が、本来であれば一番守られなければいけない弱者、特に幼児、そして女子に集中(言い切りは出来ませんが)しているからではないでしょうか。
国内外の様々な議論はあるでしょうけれど、子供を持つ親として、もうこれ以上子供が犠牲になる事件は(つい今さっきもスーパーで乳児が犠牲になったようですが 筆者注:愛知県安城市の事件)辛くて報道を見るに耐えません。ある日突然、何の前触れもなく我が子が残忍な方法で殺害される。決して小説でも他人事でもなく、いつ自分の身に降りかかってもおかしくないんだと、その度に思い知らされます。
刑期を終えて社会復帰をしたとしても、加害者への償いは終わるはずはなく、むしろそこが償いのスタートだと思います。 被害者やその家族の傷は一生癒えることはなく、ましてや殺人を犯した場合は言わずもがな、刑期だけで償いが終わるはずはないのです。刑期を終えた後、社会的制裁が一生続くのは当然だと考えます。目に見える制裁、見えない制裁、加害者は犯した罪に対する本当の償いとして、社会的制裁を一生受け続けるべきです。
「一生かけて償います」何度となく聞いた加害者のコメント。一体どれだけの加害者(犯罪者)がこの言葉を口にしたか。彼等が自分で口にしたこの言葉の意味を本当に理解するのは、刑期を終えた時、その先に当然待ち受けている(そうでなければいけない)様々な社会的制裁、それが一生続くと気付いた時であるべきだと私は考えます。加害者が口を揃えて言う「一生掛けて償う」とは、そういうことではないでしょうか。
再び罪を犯さない環境を作る |
個人的な意見で恐縮ですが、子育てに適した環境を作ることは我々社会の責任でありますし、そのための議論は盛んに行われるべきものと考えます。
しかし同時に犯罪加害者が再び罪を犯さないための環境を作ることも、我々社会の責任であると、個人的には考えています。
「刑務所に入れれば全て解決」と考えてしまいがちですが、軽微な触法少年も重大な犯罪を犯した成年も、いずれは我々の社会にかえってくる訳で、そこで再び犯罪に手を染めない環境を作ることは、すなわち、将来の犯罪から我々の身を守ることを意味しますから。
「いくら犯罪者を遠ざけても誰かの隣に住む」訳で、誰かの子育てを犠牲にして自分の子育てだけを守ろうとすることを全ての親が同時に考えたとき、自分の子育ては最も危険にさらされた状態になっているのでないかと愚考します。
文藝春秋3月号でも、作家の日垣 隆氏が『性犯罪常習者をなぜ野に放つ』と題した中で、コミック同人誌の集まりを取材した際に「児童性愛者、あるいは性行為に対する選択権がない子どもたちを性的に弄ぼうとする者たち(原文より引用 以下同)」に対して、二女の父として「怒りを禁じえなかった」体験を記している。また、性犯罪の前科2犯の小林 薫容疑者を「野に放った」司法の、「加害者の人権は地球より重いと考える」「時代錯誤」を厳しく糾弾している。
『グランド・フィナーレ』
2004年末に容疑者逮捕を迎えた奈良女児殺害事件は、単にセンセーショナルな事件であるがゆえにあれほどまでに広く議論され、報道されたのではない。神経を逆撫でされるような事件のディテール、払拭できない生理的な不快、幼い少女に手をかける非人道的な容疑者への憤り、子を思う悲しみ、それにも増して、我々が市民生活の根本で保証されていると思い込んでいた警察機能が、思いがけず情報不足であったことが露見し、社会不安が爆発的に増大したことも原因である。
この、警察、さらには司法に対する不安・不信感を早急に鎮静することを至上命題として、関係省庁は2005年を迎えた。2ヶ月余という、スピーディーな検討を経て出された結論は、日本的メーガン法論争のグランド・フィナーレとなっただろうか。親たちを一時的に鎮静させるような、名目だけのシステムに風化させないためにも、今後は転居先報告の義務化など、細かな法改正などの「実効化」が不可欠となる。(了)
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