どうやって治すの?
うつに効果があるという、ハーブその他を使った代替療法などもありますが、ここでは心理療法と、医療としての治療を挙げたいと思います。
■【カウンセラーにかかる】
心理療法の専門家である臨床心理士などのカウンセラーによる治療では、投薬を受けずに心理療法のみの治療を受けることができます。軽度のうつや、病的ではなく、日常生活にもそれほど支障のない場合は心理療法が推奨されています。(もちろん、必要な場合は医師と連携します。)
カウンセラーは、基本的には話をじっくり親身に聞くことによって精神的に援助します。ここで疑問を持ったあなた・・・これまで述べてきたような主婦のうつは、軽いものなら友達など仲のよい人に聞いてもらえば、たいていすっきりすることが多いんじゃないの?確かに!答えはYESです。じゃあなぜ、カウンセラーが必要なの?それは、以下のような特徴があるからです。
《なぜカウンセラーが必要なの?》
●秘密がもれない
信用して相談したことが、ライバルや知られたくない人の耳に入っては大変です。その点、心理療法士という職業には守秘義務といって、秘密厳守が義務づけられています。
●持続的関係性がない
ここがお友達と違う所ですが、カウンセラーはあなたの悩みが解消されたら、もうその人間関係はそれっきりです。赤の他人なのですからあなたの日常生活にその後関わり合いがあることはありません。でも、お友達はそうはいきませんね。実際、お友達に悩みを話した後、その友達に会うことが辛くなってしまったという相談も良くあるそうです。
●有料である
うつの方というのは、ものすごく人に気を使う方が多いため、自分のつまらない話(うつ症状の人は自分の話をこのように考えやすい)で相手の貴重な時間を取ってしまっているのではないだろうかと悪いほうに考え、つい自分の話をひっこめてしまうことが多いのです。そのような人は、有料の機関で、例えば50分はあなたの相談を聞く時間ですよ、という枠組みがあると安心して話すことが出来ます。相手に対して申し訳ないという感情を減らすことができるのです。
《心理カウンセラーに出会うには?》
まだまだカウンセリングが米国ほど一般的ではない日本。どこにいけば心理カウンセラーに会えるの?いくらかかるの?と、分からないことが多いですよね。
生田先生によると、心理カウンセラーによる心理療法セッションの料金は、そのカウンセラーによってまちまち。無料だったり、比較的料金の安い自治体などの施設がこちらで紹介されているとのことです。
⇒頼れるカウンセラーの見つけ方
さて、ある心理カウンセリング(短期療法)の手法では、こういう問答が交わされます;
《相談例:子育てをする既婚女性。職場で上司との関係がうまくいかず、家庭もうまくいっていない》
カウンセラー(以下C):あなたにとって、100点満点の生活とはどんなものですか?
女性(以下W):(上司が別人のようにいい人で、家庭もドラマのようにうまくいき、子供も成績優秀で抜群に可愛いいい子、というようなことを述べる)
C:現在のあなたの状況は、100点満点では何点でしょうか?
W:(10点・・・ほとんどの人が、不思議と判を押したように10点または20点と答えるという)
C:○○さんがその生活を目指して頑張るのは、10点の子供に、100点を目指せというのと同じですよね。では、20点にするには、どうしたらいいと思いますか?
W:(上司が私の業績を認め、夫も家事に協力的になって、子供も聞きわけがよくなって成績も上向きになる)
C:それは、80から90点、よくばりすぎでしょう(笑)。20点の生活は、どんなものですか?
・・・以下、延々と「20点」の具体的な生活をイメージする作業が続き、最終的に女性は、「朝、電車の中で上司の顔を思い浮かべることなく、好きなCDを聞きながら軽いエッセイを読んで通勤することが20点」という風に、自分が楽しく乗り越えられるような目標設定を行うことができるまで導かれます。このように、自分が10点のところにいるのに100点を目指してしまうような焦りを持たずに、確実にまた楽しく10点ずつアップ出来るように手助けします。この「ほんの少し」の後押しで、本人の自律的な回復を目指していきます。
では、次に心療内科や精神科などのクリニックでの治療を見てみましょう。
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