「かわいそうなお金持ちの少女の楽園」?

「カッコいい大人になるための本(A Book for Precocious Grown Ups)」と副題のついたこの本、年代を問わずあらゆる女性におすすめだ。朝日新聞の書評では江國香織さんが「強い心で生きていきたいと思っている人」へ、と絶賛し、米本国でもかつて子供時代に「エロイーズ」を読みあこがれた少女たちが母となり、娘を連れてプラザ・ホテルを仰ぎ見る。

まだ戦後の緊張感のあった50年代、アメリカでもこのマンハッタンの上流娘の奇行はセンセーショナルだった。しかし現代の子供って、多かれ少なかれエロイーズ的な生活をしてるんじゃないかと思う。これが豊かになるってことなんだろうか。多分それだけじゃないんだろう。

豊かさのなかの(エロイーズほどスーパーリッチじゃないにしても)索漠とした気持ちを味わったことのある人なら、エロイーズの生き方に、どれだけ「強い心」が必要か、わかるかもしれない。

Amazon.comでの、唯一批判的な書評は、男性によるものだった。

「一切他の子供とかかわりも持たず、高級ホテルの中で傍若無人に暮らす金持ちのワガママ娘。母親と離れて暮らして哀れな子供だ。まだ6歳のくせに大の大人を侮辱して……なんとかかんとか」

まあ、無理もないかなぁ。一種のリトマス試験紙みたいな本である。

”Eloise” Japanese Text © 2001 by Areno Inoue
日本語版 © 株式会社メディアファクトリー


「エロイーズ」(日本語版)1,700円
ISBN 4-8401-0259-7 C0797
文 ケイ・トンプソン
絵 ヒラリー・ナイト
訳 井上荒野
発行 株式会社メディアファクトリー

「エロイーズ」シリーズ
■「エロイーズ、パリへいく」
■「エロイーズのクリスマス」
■「エロイーズ、モスクワへいく」


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