離乳食の食物アレルギーが心配な場合「急がず、あせらず、ゆっくり」

離乳食はアレルギーの心配もあるので、焦らず、注意して進めていこう

離乳食はママから離れる食事自立の第一歩

寝ている時間が長かった赤ちゃんも、だんだんと首がすわり、お座りもできるようになってきます。そして母乳以外の味から、食品から栄養をとるように成長していきます。

このように離乳食とは、赤ちゃんが「乳汁栄養から幼児期の食事に移行する」ことを指します。その時期は個人差がありますが、赤ちゃんの消化器官などのからだの発育に合わせて厚生省(現:厚生労働省)の「離乳の基本(1995年)」では、生後4ヶ月を開始の時期とし1歳のお誕生日の頃を完了する目標としています。この時期は、食事のバランスよりスプーンの舌触りや母乳以外の味になじむことが大切です。

特にアレルギーが心配な時には、「急がず、あせらず、ゆっくり」と赤ちゃんのペースに合わせて進めてください。近年では、「離乳食」に変えて「補完食」という考えが生まれてきています。母乳を無理にやめさせるわけではなく、母乳に経口食を補完しながら自然に固形食へ変えていこうとすることを大切にした内容です。

<目次>  

離乳食はなぜ必要なのでしょうか?

栄養の補給のため
5ヶ月を過ぎた頃、赤ちゃんのエネルギー・たんぱく質・カルシウム・鉄・銅・亜鉛・ビタミンDが不足してきます。鉄などの無機質は、胎児期に蓄積されているものを5~6ヶ月頃に使い果たしてしまうからです。また母乳にはこれらの成分が少ないので、食品から補う必要があります。

消化機能の発達の促進のため
6~7ヶ月になると歯が生えはじめます。この頃になると赤ちゃんは色々なものを口に入れて確かめるようになります。固形物を食べることによって、唾液も増えて消化酵素が活性化してきます。このように、だんだんと固い物を食べることによって赤ちゃんの消化する力が高まってくるのです。

摂取機能発達の促進のため
赤ちゃんの口の中は、成長するに従って唇・舌・歯がそれぞれ一緒になって複雑な動きができるようになります。この発達の段階にあわせて、どろどろしたものから、「噛み潰して飲む」摂取機能を獲得していくのです。

精神発達の促進のため
食品の持つ味・匂い・色・形・感触・温度をたくさん経験したり、椅子に座って食器を使って食べる。その行為は、知覚を刺激して精神の発達にも影響を与えます。

望ましい食習慣の基礎
離乳期に出会う食品は、味覚ができあがる基礎となり自分で意欲的に食べるようになる出発点。食事の場所や時刻や回数なども、きちんと決まった形で行うことで規則的な食習慣の基本が出来上がっていきます。
 

離乳食の進め方の目安、食品一覧

離乳食を始める際は、「個人差がある」「急がず計画的にすすめる」「急激に変化させない」ことを頭において、進めていきます。下記は、「離乳食の基本」の進め方の目安表にアレルギーを配慮して利用できる食品を掲載してあります。あくまで目安なので、赤ちゃんにあった進め方をしましょう。特に授乳中から症状のあった食品に関しては、専門の医師に相談してくださいね。

離乳食の進め方
1. 初期
【月齢】 5~6ヶ月
【回数】 1日1~2回
【固さ】 ドロドロ
【塩分】 なし
【米・他】上ずみ⇒つぶしがゆ
【野菜】 うぐいす菜、白菜、キャベツ、レタス、カリフラワー、
ブロッコリー、あぶら菜、ふだん草、大根、かぶ、小松菜、チンゲン菜、にんじんなど
【果物】 りんご、もも、すいかなど


2. 中期
【月齢】 7~8ヶ月
【回数】 1日2~3回
【固さ】 舌でつぶせる
【塩分】 塩味
【米・他】全がゆ
【うどん】くたくた煮
【野菜】 かぶの葉、大根菜、なす、きゅうり、アスパラガス、ほうれん草、春菊、
さやえんどう、いんげん、スナックえんどう、パセリ、つるむらさき、モロヘイヤ、おくら、ピーマン、そら豆、セロリ、長ネギ、玉ねぎ、さつまいも、じゃがいも、かぼちゃ、里いもなど
【果物】 りんご、もも、すいかなど
【魚介】 かれい、ひらめ、きす、いとより、しらうお、さより、かます、わかさぎ、
かわはぎ、あんこう、はたはた、いさき、とびうお、ほっけ、やつめうなぎ、ふぐ、さざえ、あわび、みる貝、あおやぎなど
【海藻】 わかめ、あおのりなど
【大豆】 豆腐(週1、2回)
【豚】  レバー(週1回)


3. 後期
【月齢】 9~11ヶ月
【回数】 1日3~4回
【固さ】 歯ぐきでつぶせる
【塩分】 しょう油味
【油脂】 週1~2回
【米・他】全がゆ⇒軟飯
【うどん】やわらか煮
【パン】 パンがゆ⇒そのまま
【野菜】 しいたけ、しめじ、えのきだけ、トマト、にら、もやし、れんこんなど
【果物】 みかん、なし、ぶどう、プラム、かき、あんず、イチゴ、メロンなど
【魚介】 さんま、あじ、ししゃも、うなぎ、さけ、ます、むつ、いしもち、あゆ、しらす、ぶり、どじょう、あなご、いわし、帆立貝、赤貝、かきなど
【海藻】 板のり、こんぶ、ひじきなど
【大豆】 納豆(週に1、2回)、きなこ(週1回)
【豚】  肉(週2、3回)
【鶏・牛】レバー(週1回)、肉(週1、2回)
【菓子類】せんべい(味なし)


4. 完了期
【月齢】 11~12ヶ月
【回数】 1日3~4回
【固さ】 歯でかめる
【塩分】 みそ味
【だし】 ○
【砂糖】 ○
【油脂】 週1~2回
【米・他】軟飯⇒ご飯
【うどん】普通煮
【パン】 パンがゆ⇒そのまま
【野菜】 山いも、ごぼうなど
【果物】 バナナ、キウイなど
【魚介】 まぐろ、かつお、さば、にしん、はまぐり、しじみ、えび、いか、たこ、かになど
【卵製品】完全に火を通して黄身から
【乳製品】ヨーグルト⇒チーズ⇒牛乳
【菓子類】せんべい(しょう油・塩)



注意すること
・付表に示す食品の量などは目安です。
・離乳の進行状況に応じた適切なベビーフードを利用することもできます。その際は、表示をよく見て安心して利用できるものを。
・野菜はなるべく緑黄色野菜を多く利用しましょう。
・乳製品は無糖ヨーグルトを例としています。
・たんぱく質性食品は、卵、豆腐、乳製品、魚、肉等を回転させて利用しながら、鉄を多く含む食品を加えましょう。
・離乳初期には固ゆでした卵の卵黄を用いましょう。卵アレルギーとして医師の指示があった場合には、卵以外のたんぱく性食品を代替します。詳しくは医師と相談しましょう。
・豆腐の代わりに納豆、煮豆(つぶし)を用いることができます。
・海藻類は適宜用いましょう。
・油脂類は調理の副材料として、バター、マーガリン、植物油を適宜使用しましょう。
・塩、砂糖は多過ぎないように気をつけましょう。
・はちみつは乳児ボツリヌス症予防のため満1歳までは使わないでください。
・そば、さば、いか、たこ、えび、かに、貝類等は後期まで控えましょう。
・夏期には水分の補給に配慮する。また、果汁やスープ等を適宜与えましょう。

<参考文献>
『母乳で育てる元気な赤ちゃん』(池田書店)
『改定小児栄養学(第二版)』(建帛社)

アレルギーが気になる時の離乳食のポイント

アレルギーが気になる時は、ゆっくり慎重に進めましょう

アレルギーが気になる時は、ゆっくり慎重に進めましょう

スタートはあせらず、少し遅めで
「離乳の基本」では、スタートは4ヶ月頃に果汁やスープから始めますが、アレルギーが気になる時には少し遅めでかまいません。また、最初は赤ちゃんの体調が良く、ご機嫌の良い時間帯を選び、運動後や入浴後は避けましょう。最初はスプーンに慣れることを目標に、舌の上にのせる様な感覚で進めます。初めての食品を利用する時は1さじから。特に気になる食品は、少量を唇に軽くあてて様子を見てから使いましょう。もしいつもと違う症状が出た時(ぐったりする、機嫌が悪い、発疹や咳、熱や下痢など)は、早めに小児科へ。

食品は選んで抗原性(アレルギー反応を起こす原因)の高い食品は避ける
アレルギーは、たんぱく質がアレルゲンとなって起こる症状です。たんぱく質は、豆・肉・牛乳・卵・魚以外にも野菜やお米にも含まれる成分です。特に家族の中に特定の食品でアレルギーを起こす人がいる場合、授乳中にアレルギーが心配される食品を利用する際は注意が必要です。抗原性の高い食品(卵、牛乳、油脂)は1歳頃のスタートにしましょう。

赤ちゃんは味覚が鋭敏なので天然の味付けを
赤ちゃんは実は最も味覚が鋭敏な時期です。この時期に濃い味、甘い味に慣れてしまうよりもできるだけ、そのままの味を大切にしたいものです。塩・砂糖・だし・油脂類は控え、食品そのままの味をいかした薄味の調理法にしましょう。そして、大豆製品は味噌・醤油などにも含まれるので「味噌汁の上澄み」など、大豆アレルギーが気になるお子様は1歳を過ぎてから使うようにしましょう。

食品は加熱する
食品は加熱することで抗原性(アレルギー反応を起こす原因)を低下させ、アレルギー反応を起しにくくします。アレルギー反応の強い赤ちゃんは、初めて使う食品、スタートの果汁や野菜も十分に加熱した物を与えましょう。

器具は消毒を怠らずに清潔に
注意しなくてはいけないのが、まな板やスプーン、食器など器具の洗浄と消毒です。特にまな板や鍋は、他の食品も調理しながら隙間に菌やアレルゲンとなる食品が入り込んでいる可能性があります。洗浄は漂白剤を利用した消毒液よりも煮沸消毒をお勧めします。気になる方は、赤ちゃん専用の鍋やまな板を用意すると便利です。

面倒でも離乳食は基本手作りで
ベビーフードは便利ですが、製造工程で使われる食品、食品添加物などでアレルギーを引き起こすこともあります。メーカー側の詳細を調べて、詳細に成分が記されたものを利用。少し面倒ですが、気になる時にはできるだけ添加物が含まれていない手作りにしましょう。食品は保存する間に、栄養分が低下していきます。旬の食品を利用して、なるべくその日のうちに食べましょう。

味付けは天然のもので付ける
食品を続けて利用することで、アレルギーが起こりやすくなります。食品は毎日違った食品を使いましょう。食品だけでなく、だしなども毎日かつおだしを利用するのでなく、他の食品からもだしを使うようにしましょう。例えば、干しえび、貝柱、昆布、干ししいたけなどにも旨み成分は含まれています。離乳期には美味しさは天然の味付けを基本にしましょう。
 

もし離乳食でアレルギー症状が出たら

特定の食品を食べた時に、赤ちゃんの具合が悪くなったり、アトピー性皮膚炎の症状がひどくなる時には、まずは医師に相談してください。その際に原因食品を特定できるためにも、離乳食で始めて使う食品は1日1種類1さじで進めます。最初に症状がなくても食べ続けるうちに様子がおかしくなってきた場合、気になる食品を一旦やめてみましょう。やめた後に症状が軽くなる場合は、その食品がアレルゲンの可能性があります。しかし食物アレルギーの診断は難しく、栄養が必要となる時期に、むやみに除去をすることはお勧めできません。気になったときには、食物アレルギー専門の病院で診察しましょう。

相談を受ける中でも離乳食の進め方には個人差があり、その子その子によって、食べる量も内容も、おっぱいの時間も量も違ってきます。また赤ちゃんの体調によっても、下痢を起したり、中々食べてくれない時もあります。赤ちゃんの事を一番知っているのは、育てている親です。周囲に惑わされず、ゆっくりその子なりのペースで進めていってください。

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。