世界のタミフルの7割は日本へ
現在、世界で販売されているタミフルの7-8割は日本で使われているのです。つまり、使用量が多い分副作用が出る数が増えるというわけで、副作用が出やすいわけではありません。日本以外の国々でタミフルがそれほど使われていない最大の理由は、値段と効果です。まず値段ですが、タミフルの通常の使用法、1日2カプセルを5日間、計10カプセルで日本では4千円弱。健康保険で自己負担が3割で済むとして、実際に患者さんが支払う金額は2千円程度です。
日本以外の国々では、まず健康保険制度がないため、タミフルを使うためには正味の金額を支払う必要があります。それでも、効果が抜群であればいいのですが、その効果の面で、気軽に使うことを躊躇する理由があります。
タミフルの証明されている効果は、「熱が出ている期間を1日程度短くする」というもの。「4日出ていた熱が3日で済む」といった具合です。この程度の効果に上の金額を出す価値があるのか、という考えです。元々タミフルが登場する前は、インフルエンザは「寝て治す」ものでしたから、諸外国では現在もタミフルは「重症の患者さんに限って処方する」という使われ方をされています。
また、タミフルは、新型インフルエンザには効果があると考えられています。諸外国では主に、新型インフルエンザが大流行を起こしたときのために備蓄されているのです。