子ども同士の喧嘩は仲裁するべき?
お互いに気持ちよく遊ぶには?
ちょっと目を離すと、すぐにお友達と取り合いやケンカ。「またケンカしてるの?」「わがままはダメよ」「ごめんねは?」などとお話をしても、なかなか子どもの気持ちは変わらず、手を焼いてしまうこともあるのではないでしょうか。
松原も保育士になりたての頃、一歩も引かない子どもたちにどう声を掛けていいのか分からず、途方にくれてしまったことがありました。今回はママたちが公園などで遭遇する子ども同士のケンカへの関わり方をご紹介します。
子どもは喧嘩で社会性を学ぶ
体の器官が発達し、パパ・ママとの間で「自分は愛されるべき存在なんだ」という安心感や「自分は出来るんだ」という自己有能感が育つのが0・1・2歳の時期。それまでは限られた人間関係の中の世界でしたが、成長と共に視野が広がり、お友達と同じ目線で対等にやり合えるようになる3歳からの成長の課題は社会性=お友達とのやり取りです。おもちゃを取り合ったりケンカをしたり仲直りをしたりすることで、子どもは相手にも気持ちや事情があることを知り、自分の気持ちとの折り合いのつけ方やお友達と一緒に共同作業をする楽しさを学んでいきます。
一方で、それまで「蝶よ花よ」と家庭の中で育てられてきた子どもにとっては、衝撃的な時期でもあり、思い通りにならないもどかしさから大泣きをして訴えたりすることもしばしばあるのです。
こんなとき、ママはあわてる必要はありません。大人の階段を昇り始めた子どもを祝福し、混乱を整理をしてあげましょう。次のページでは具体的なかかわり方をご紹介します。
ポイントは気持ちを受け止め、クールダウンさせること
お互いの気持ちをママがクールダウンさせてあげましょう
-
- 子どもの言い分をじっくり聞きましょう
- 「どうしたの?」と、まずは子どもの言い分をじっくり聞いてあげましょう。話を聞いてもらうことで、子どもはママが自分の味方であるということを感じて安心し、呼吸が落ち着いてきます。
この時にママの判断や意見を言いたくなりますが、子どもを中断することになるので、グッとこらえて最後まで聞いてあげましょう。
- 気持ちを受け止めてあげましょう
「そっか、悲しい気持ちになっちゃったんだよね。よしよし。」としっかり受け止めることで、子どもの興奮はひと段落してきます。
この時に、片方だけの意見だと全体が見えないので、相手のお友達の言い分も同じように聞きましょう。
- ケンカの状況を整理しましょう
この時にどちらかの味方をするのではなく、中立の立場で両方の言い分を尊重してあげることが大切です。
- 判断は子どもたちにゆだねましょう
子ども同士の納得感が成長につながる
お友達からの学びは子どもを成長させる
「うんとね、おもちゃを貸してあげればよかった」
「ちょっといじわるしちゃった」
こんな風に子どもの本音が見えてきたら……
「そうだね。ちょっと意地悪しちゃったんだよね。どうしたらいいかな?」「今度から順番に使う」
「ごめんねって言う」
など、子どもが自分で答えを見つけるのをサポートしてあげましょう。仲直りできたら、褒めて自身を持たせてあげると、その後に同じようなことがあったときにも自信を持ってお話が出来るようになります。
ですが万が一……こういった子どものケンカの仲介をママが自ら奪ってしまうと、子どもは相手の気持ちを理解するチャンスを失います。子どもの中の社会性は育たず、心の通うお友達を作ることがむずかしくなるでしょう。
子どもの成長の中で大切なのは、お友達や仲間と尊重し合い学び合うこと。ここはママもぐっと踏みとどまって、子どもの成長を信じて声掛けを続けましょう。
子ども同士の喧嘩は成長のチャンス
一方、ママのほうにも子どものけんかの調整には次のようなチャンスがあります。この登場人物を大人に置き換えて考えてみてください。じつはこれは職場での上司と後輩との橋渡し役など、人間関係の中で必要とされる調整能力が育つ絶好のチャンスなのです。大人ももとは子どもです。根気よく子どもに関わっていくことが、じつはママ自身のコミュニケーション能力をも育むのです。
子どものケンカは厄介なものではなく、むしろ学びの大きな成長のチャンスです。ママがいないと仲直りが出来ないのではなく、子ども任せに放任になるのでもなく。子どもの学びや成長を得るためのチャンスと捉えて、子どものケンカに前向きに向き合ってみてくださいね。