ステーショナリー・文房具/ノート・手帳・スケジュール帳にこだわる

能率手帳がロングセラーな訳(4ページ目)

来年で60周年を迎える「能率手帳」。これまで多くの経営者をはじめビジネスパーソンに愛用され、今やビジネス手帳の代名詞的存在です。今回はその「能率手帳」の生産現場を取材してきました。

土橋 正

執筆者:土橋 正

ステーショナリーガイド


8.仕上げ裁ち

これは裁断される前の状態こうして出来上がったものはまだ2冊が繋がったままの状態。これを1冊ずつに切り離していく。さらに切り離した1冊の手帳の小口(断面)を三方からカットして小口をきれいに仕上げる。

9.小口塗り

万力のおばけみたいなもので、何冊もの手帳をはさんで
塗っていく。
きれいにカットされた小口に色を塗っていく。これは必ずしもすべてに塗るわけではない。能率手帳では「普及版」には黒、そしてゴールドには文字どおり金が塗られている。何冊かを束ねて刷毛で塗っていく。
仕上げ裁ち
小口塗り
小口塗り
左/小口塗りに使われる年季のはいったハケ。
右/塗った後には、この「めのう石」で磨きをかける。

一般に金の小口は、アルミ泊に金を着色するという方法がとられることが多い。しかし能率手帳ゴールドでは、24金の金箔が使われている。見た目にも輝き・色合いが違う。そもそもこの小口を塗るというのは、見た目ということもあるが、実は小口の汚れを防ぐという実用上の理由もある。
金箔
小口に使われる金箔。右が「能率手帳ゴールド」に使われる24金。
金箔
右側が24金の金箔をほどこした「能率手帳ゴールド」。確かに色合いが違う。


10.くるみ

くるみ
最終工程は、手帳の外側をカバーでくるむ作業。
そして最終仕上げとなる表紙カバーと製本されている中身をつなぎ合わせる「くるみ」という作業。ちょうど私が伺った時には「能率手帳ゴールド」のくるみの作業が行われていた。製本された表紙に刷毛で糊で塗り、羊革カバーを貼り合わせていく。ビニールカバーのものは機械で行うことが多いが、この能率手帳ゴールドでは一つ一つ手作業で行われる。
くるみ
定規など使わずに永年の経験だけで貼りあわせている。

糊を塗ったとたん、紙は水分を含みクルッとカールしてしまう。そのため、速やかにカバーを貼り合わせなくてはならない。しかも、カバーと本文の隙間は2mmという厳格な基準がある。しかし、その作業を見ていると、定規など一切使われてない。永年の経験だけを頼りに行っているようだ。貼り合わせたものは、何冊かを束ねて万力のようなもので糊を固定させる。
くるみ
万力で糊を固定させる。

一冊の能率手帳が出来上がるまでにこの様な大変多くの工程がある。もちろん機械も使われているが、思った以上に人間の手も介在していることに正直驚いた。

  • 前のページへ
  • 1
  • 3
  • 4
  • 5
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について