8.仕上げ裁ち
左/小口塗りに使われる年季のはいったハケ。 右/塗った後には、この「めのう石」で磨きをかける。 |
一般に金の小口は、アルミ泊に金を着色するという方法がとられることが多い。しかし能率手帳ゴールドでは、24金の金箔が使われている。見た目にも輝き・色合いが違う。そもそもこの小口を塗るというのは、見た目ということもあるが、実は小口の汚れを防ぐという実用上の理由もある。
小口に使われる金箔。右が「能率手帳ゴールド」に使われる24金。
右側が24金の金箔をほどこした「能率手帳ゴールド」。確かに色合いが違う。
10.くるみ
最終工程は、手帳の外側をカバーでくるむ作業。
そして最終仕上げとなる表紙カバーと製本されている中身をつなぎ合わせる「くるみ」という作業。ちょうど私が伺った時には「能率手帳ゴールド」のくるみの作業が行われていた。製本された表紙に刷毛で糊で塗り、羊革カバーを貼り合わせていく。ビニールカバーのものは機械で行うことが多いが、この能率手帳ゴールドでは一つ一つ手作業で行われる。定規など使わずに永年の経験だけで貼りあわせている。
糊を塗ったとたん、紙は水分を含みクルッとカールしてしまう。そのため、速やかにカバーを貼り合わせなくてはならない。しかも、カバーと本文の隙間は2mmという厳格な基準がある。しかし、その作業を見ていると、定規など一切使われてない。永年の経験だけを頼りに行っているようだ。貼り合わせたものは、何冊かを束ねて万力のようなもので糊を固定させる。
万力で糊を固定させる。
一冊の能率手帳が出来上がるまでにこの様な大変多くの工程がある。もちろん機械も使われているが、思った以上に人間の手も介在していることに正直驚いた。