クラウンミル(ベルギー)
ベルギーをはじめヨーロッパの王室にも使われているクラウンミル |
ブースにはちょうど現在のオーナーご兄弟がいらした。せっかくの機会なので、前々から気になっていることを尋ねてみることに。それは、オリジナルクラウンミルの紙がどうしてあれほどまでに書き味がいいのかということ。その問いに対し、彼は3つあげてくれた。一つに永年の経験、そしてきれいな水、最後に紙に適したフィンランド産の良質なパルプを使う、ということだった。私はてっきりなにか特殊なことをしているのかと期待していたが、そうではなかった。紙作りの本質の部分をひたすらこだわっているということなのだろう。
定番のホワイトやクリーム以外に、 こうした遊び心のあるカラータイプもある |
銅版画の絵柄は100種類以上あるという |
通常に印刷されたものとは違う繊細な線で描かれているのが特長。この細い線は、銅板にエングレイビングと言って彫り込んでいくことで作られる。現在では、その多くがコンピュータ彫りが主流になっているが、同社では、今なお熟練の職人が一枚一枚手彫りしている。失敗が許されない大変に神経を使う作業だ。
そうした繊細さに加え、銅版画のもう一つの魅力は、絵の表面がたっぷりのインクで立体感を生み出していることだ。この立体感を生み出すために通常の印刷の10倍ものインクを使うという。その分乾かすのに相当な時間を要する。全体の作業を含めると一枚のカードを完成させるには3日くらいかかるそうだ。
この先20年後くらいしたら、銅板を彫る職人も数少なくなってしまうかもしれないという。そういう意味で、これはとても貴重なステーショナリーと言える。
左/この工具で銅板に彫っていく 右/インクがたっぷりと盛られているのがわかる |
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