さて、このカーホフでここぞとばかりに色々なステーショナリーを買ってきた。やはりドイツのショップなので、自国のブランドのものが比較的多い印象だった。今回はその中で、日本では発売されていないペンを2本ご紹介したいと思う。
ロットリングニュートン 万年筆
ロットリングニュートンというシリーズは、日本でも発売されているので、ご存知の方も多いいと思う。しかし、日本で見かけるのはボールペンと多機能ペンだけ。万年筆は日本では展開されていない。
ボディはオールメタルで手にすると、ほどよい重量感がある
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ニュートンは確か数年前にデザインがリニューアルされている。以前のものはロットリングらしい質実剛健な製図ペンといったスタイルだった。今回のニュートンは、近未来を感じさせるデザインになっている。このニュートンでもそうだが、最近のロットリングの傾向は、往年の製図ペンというよりもデザインペン路線をひた走っているという印象がある。
六角軸ボディがアクセントになったデザイン
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ボディデザインは、丸い軸の上から六角軸ボディで覆うような独特なスタイルが特徴。先代のニュートンの六角軸ボディを現代版にアレンジしたような感じだ。今回の六角軸はちょっと変わっていて、両はじがなぜか互い違いにカットされている。これは万年筆だけでなく、シリーズすべてのペンでも採用されている。同じ向きではなく、あえて互い違いになっているのが、やや気になる。
キャップの接合部もそれにあわせるかのように斜めになっている。これが意外に便利で、キャップをはずす時に引っ張らなくても、クリップを手がかりにしてちょこっとねじれば簡単にはずせてしまう。ネジ式のようにぐるぐると回す必要もないので、急いで書こうとしているときなんかは便利だと思う。
キャップをはずしたボディのままでも、ブラックのグリップ部分を握れば書くことはできる。しかし、せっかくのこの六角軸をグリップ代わりにしてガッチリと握った方が、このニュートンらしさをより堪能することができる。その場合は、はずしたキャップを尻軸にセットする。尻軸も斜めカットになっているので、キャップにピタリと収まる。よく考えられているのは、筆記時の邪魔にならないようにクリップがちゃんと上を向くようになっている。あえて互い違いのカットにしたのは、ひょっとすると、万年筆のキャップのこうした事情があってのことかもしれない。
キャップの口は斜めにカットされていて、
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尻軸にもピタリとセットできるようになっている
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キャップをすると、一挙にロングボディに変身する。このロングボディを手中におさめて、一番バランスのよい握りを探してみると、ボディの真ん中らへんで落ち着くことになる。この状態で筆記体勢に入ると、必然的にペンはかなり寝かせた感じになる。個人的には、万年筆は寝かせて書くほうなので、私は気にならないが、立てて書く方には、取り回しがちょっと大変かもしれない。
ロングボディなので、
ゆったりとペンを寝かせて書くのに相応しい万年筆 |
このニュートンは、どうやらペンを寝かせて書くことを想定しているようだ。と言うのも、ペン先の裏側にあるペン芯のヒダヒダがふつうは外側についているものだが、これは内側になっている。これは、他の万年筆でもたまに見かけるが、このニュートンの場合、そのペン芯がまるでスキーの板のように滑らかな曲面になっているのだ。どうぞこれで思う存分滑ってみてくださいと言わんばかりに。これは私の勝手な推測だが、寝かせてもペン芯を傷めたりしないようにこうした滑りのよいつくりにしているのではないだろうか。
いかにも滑りのよさそうな仕上げ
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ペンをかなり寝かせて安心して書いていられる。
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こうした特殊さゆえに、日本展開がされなかったのかも知れない。個人的にはなかなか面白い万年筆だと思う。
ロットリング ニュートン 万年筆
ステンレスペン先。インクはカートリッジのみ対応。 |