本来は大きなものがグッと小さくなった時、非日常的なものをそれに見いだすのかも知れない。外観だけでなく、中身や仕組みといったことまで忠実に小さく作ったものなら、なおさらだ。今回紹介するこのノートも、そんな「小さなもの心」を大いにくすぐってくれるものがある。
美篶(みすず)堂 豆本
小さいながらも堂々とした風格
美篶堂は、もともと職人の手づくりによる上質な装丁の製本を手がけており、出版業界では、その名はかなり知られた存在だ。最近ではその製本技術を活かし、ノートをはじめとする様々な紙製品を作っていて、ステーショナリー好きの間でも、人気を博している。手をぎゅっと握りしめたら、隠れてしまうほどの小ささ
この「豆本」、その名のとおり、手の平にすっぽりと収まる見事なまでの小ささをしている。その小ささ、マッチ箱くらしかない。一見すると、ただただ可愛らしいだけのアイテムと思いがちだが、さすが上製本を得意とする美篶堂、こだわりに満ちた作り込みになっている。1つひとつ手作りで、細部にいたるまで実に丁寧に仕上げられている。もし、このまま大きくすれば、上質なハードカバーの本として通用するくらいだ。
小さなそのノートを指でつまむように持つと、なんだか自分がガリバーにでもなった気分になってくる。
表紙を開くと、「見返し」という表紙と本文をつなぐ厚紙までついている。 | 中の紙はすべて無地になっている。 |
美篶堂のノートと言えば、見開き性のよい製本に特徴があるが、こんなに小さなノートにもしっかりと、そのこだわりは埋め込まれている。どのページをめくっても製本のノドまで気持ちよく開いてくれる。豆本といういことで、1ページのスペースは決して広くないが、この見開き性のよさにより、筆記スペースはそれなりに保たれそうだ。
グイと勢いよく広げてもOK。
中の紙にもぬかりはなく、上質な紙が使われている。私が今回手に入れた豆本には、スピカレイド紙、そしてクリーム帳簿用紙が使われていた。
すの目の入ったスピカレイド紙。最近はあまり見かけなくなった。 | 美篶堂の十八番の違う色をグラデーション的に製本したタイプもある。 |
実は、この紙は、通常のサイズのノートを作っていく中で、どうしても紙の取り都合の関係で余ってしまう部分があり、それを有効活用するこという事情もあるという。なので、この豆本を買いに行ってもその時々により、中の紙はいろいろと違うことがあるそうだ。どんな紙に出会えるかを楽しんでみるのもいいと思う。
左がクリーム帳簿用紙、右がスピカボンド紙
使い方はアイデア次第
眺めているだけでも楽しいのだが、せっかくなので、その小さいを活かした使い方を試してみたい。小さなページに小さな文字で書いてみると、何とも言えぬ魅力的なものになる。 | 太字の万年筆で1ページに1文字ずつ書くと、紙芝居的にメッセージを伝えることができる。 |
やはりノートであるのだからまずは書いてみるのがいいと思う。書くと言っても使うペンによって色々な楽しさがある。たとえば極細のペンで自分だけの秘密の日記を小さなページいっぱいにびっしりと記したり、また、プレゼントに添えるメッセージカードならぬ、メッセージブックとして使うという楽しみ方もある。その場合は、1ページ1文字で、「H」「A」「P」「P」「Y」「B」「I」「R」……なんて書いたらメッセージもより伝わりやすいと思う。
それから、実はこれがこの商品の本来の使い方なのだが、はがきや写真、カードなどを豆本のページの間に挟み込んで、スタンドとして、デスクに飾ることもできる。
ハードカバーに厚みのあるスタイルを活かして、写真などを挟みこんでおくことができる。ノートとして使い終わった後にいいかも。
アイデア次第で何通りもの使い方ができる「豆本カードスタンド」。あなたならではの楽しみ方を見つけてみてはいかがだろうか。
美篶堂「豆本カードスタンド」 840円~
<関連リンク>
美篶堂のオフィシャルサイト
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