研ぎ澄まされたペン先
21金ロジウムプレートのペン先には
25周年の刻印が見える
25周年の刻印が見える
ロジウムプレート仕上げのペン先の先端は、超極細というだけあって確かに鋭く研ぎ出されている。万年筆のペン先というと、丸みを持ったものというイメージがあったが、これはまるで切れ味鋭い刃物を彷彿とさせる。
真上から見るととても細い | 真横からみると 厚みがあるのがわかる |
紙の上にペン先をおき、恐る恐る走らせてみた。ちょっとカリカリとした感じが手元に伝わってきた。後ろで見ていたセーラーの方に、「筆圧をかけずに、ボディの重さだけを頼りに書いてみてください。」とアドバイスいただいた。私はそれほど筆圧は強いほうではないのだが、その指示に従って、指先の力をできるだけ抜き、まるで、ふわっとした真綿でも手にするときの様に包みこみ、気を取り直して再びペン先を走らせみた。
すると、どうだろう。。
先ほどのカリカリ感はかなり消え、サラサラとペン先が進んでいく。筆圧はかけずともペン先からは気持ちよくインクが出てきて、紙の上にはこれまで見たことのない、まさに超極細の筆跡がつくられていく。試し書きに用意された紙の方眼の線に負けず劣らずの細やかさだ。その字幅はメーカーの発表によると、0.18mmという。これは並大抵の細さではない。その細さは、なんと表現したらいいのだろうと、ずっと考えていたのだが、これは、線香花火の細かにきらめく火花のような感じがする。とても美しさあふれる細さだ。
細いのにかすれることなく 気持ちよくインクが出る | トメ、ハネ、ハライも しっかりと表現できる |
さらに、その文字はただ単に超極細ということだけにとどまらない。まるで毛筆のような線の強弱もその中にはしっかりと表現されている。
「サーチャー」と呼ばれるメンテナンス工具が付属される | 先端にある薄い板をペン先の先割れに差し込んで、噛みこんた紙の繊維などを取り除くためのもの |
これまで、万年筆は太字だ! と思い込んでいた私は、細字でも万年筆らしく、しかもきれいな文字が書けることを肌で感じ、細いペン先に開眼してしまった。
このペン先は、セーラーのペン先職人である長原幸夫氏が創り出したものだ。通常のペン先づくりの工程が3工程であるのに対して、この細美研ぎではなんと11工程にも及ぶ。しかも、その作業には顕微鏡まで使い、研ぎだすというのだから、実にすごい。
セーラー万年筆超極細万年筆 細美研ぎ
52,500円 限定250本 シリアルNO入り
2006年12月から発売予定
サイズ:径18mm×長さ141mm 重さ:22g
52,500円 限定250本 シリアルNO入り
2006年12月から発売予定
サイズ:径18mm×長さ141mm 重さ:22g
超極細という技術力の高さだけを誇るのではなく、そこに万年筆本来の良さでもある「美しく文字を書く」という点にもしっかりとこだわっているのがとても印象的だった。太く力強い文字もいいが、この細美研ぎで書く細く上品な美しい文字を味わってみるのもいいものだと思う。漢字の美しさというものを今一度気づかせてくれる万年筆だ。
<関連リンク>
セーラー万年筆オフィシャルサイト
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