年金

転職時や失業時に必要な公的年金手続き(2ページ目)

経済に回復の兆しが見え始めても、依然として厳しい状況が続く雇用情勢。失業時には雇用保険だけでなく、公的年金の手続きも必要になります。失業時の公的年金の手続きや再就職までの保険料の納付など、退職から再就職までの公的年金の手続きをご案内します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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 再就職をした後は?

退職から再就職まで保険料の負担が必要な期間は?

退職から再就職まで保険料の負担が必要な期間は?

再就職が決まって、再び健康保険や厚生年金に加入する手続きは再就職先の会社で行うので、特に必要な手続きはありません。会社に配偶者を扶養にする申請をすれば、健康保険の被扶養者の手続きや第3号被保険者への種別変更の手続きも会社が行ってくれます。

退職から再就職まで期間があくと、厚生年金の被保険者資格を喪失し、国民年金の種別が変わる期間ができます。退職日の翌日に厚生年金の被保険者資格を喪失し、再就職した日から再び厚生年金の被保険者資格を取得しますが、第1号被保険者としていつからいつまで国民年金の保険料を負担するのか、「夫が会社員、妻が専業主婦」だった夫婦の事例でみてみましょう。

【事例1】
平成21年6月30日に退職。平成21年11月1日に再就職が決まった場合。

6月30日に退職すると、厚生年金の被保険者資格は7月1日に喪失します。厚生年金の加入期間は「資格を取得した月から資格を喪失した月の前月まで」になるので、厚生年金の保険料は6月分までが6月の給与から天引きされます。通常、給与から天引きされる保険料は給与支給月の前月分(6月の給与からは5月分の保険料)ですが、月末退職の場合は退職月当月(6月分)の保険料も天引きされるので、2ヵ月分の保険料が天引きされます。また、厚生年金の被保険者資格を喪失した日に、夫婦とも国民年金の種別が第1号被保険者に変更されます。再就職が決まる11月1日に夫は再び厚生年金に加入し、妻は第3号被保険者に種別が変わります。したがって、第1号被保険者として保険料を納付しなければならないのは、7~10月までの4ヵ月分になります。
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【事例2】
平成21年6月29日に退職。平成21年11月1日に再就職が決まった場合。

事例1より1日前の6月29日に退職すると、厚生年金の資格喪失日は6月30日になるので、6月分の給与から天引きされる厚生年金の保険料は5月分のみとなります。ただし、夫婦とも6月30日から国民年金の第1号被保険者に種別が変わるので、国民年金の保険料を6月分から納付しなければなりません。事例1と同様に11月から夫は再び厚生年金に加入し、妻は第3号被保険者に種別が変わるので、国民年金の保険料は6~10月までの5ヵ月分を納付します。
 

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【事例3】
平成21年6月30日に退職。平成21年11月20日に再就職が決まった場合。

6月30日に退職すると、厚生年金の被保険者資格は7月1日に喪失するので、夫婦とも7月1日から国民年金の種別が第1号被保険者に変わります。再就職が決まる11月20日に夫は再び厚生年金に加入し、妻は第3号被保険者に種別が変わりますが、月の途中で厚生年金の加入や種別変更があった場合は、その月は変更後の種別等に従って保険料を納付します。したがって、第1号被保険者として保険料を納付しなければならないのは、7~10月までの4ヵ月分になり、夫は11月分から厚生年金の保険料が給与天引きされます。
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事例1から事例3は退職や再就職がすべて同じ月ですが、退職日により国民年金の保険料を納付する月数が異なります。退職前後のどちらの保険料を納付しなければいけないのか確認しておきましょう。
 

その他の注意点は?

転職するときの退職日や最終日により、公的年金の加入期間がわかりにくくなったり、手続が漏れてしまうことも多く、年金記録問題でも転職により加入記録が宙に浮くケースが数多くみられました。転職した場合は誕生月に送付されるねんきん定期便で加入期間にずれがないかしっかり確認しましょう。

また、厚生年金の加入記録は保険料を本人と会社が折半負担するため、昨年は保険料の計算の基礎となる標準報酬月額を実際の給与より大幅に引き下げる標準報酬月額改ざんが大きな問題になりました。倒産を装った厚生年金の偽装脱退を含めると100万件以上の記録改ざんの可能性もあることが報道されました。今年度送付されるねんきん定期便にはこれまでに支払った厚生年金の保険料と標準報酬月額が記載されています。加入期間だけでなく、保険料や標準報酬月額が低すぎないか確認しましょう。

厳しい雇用情勢が続く中、雇用保険の給付を受けながら就職活動を続ける人もいるでしょう。雇用保険の手続きだけでなく、将来の年金が確保できるよう忘れずに公的年金の手続きも行いましょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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