スーツ生地の選び方……紡毛糸と梳毛糸
スーツ生地の選び方
紡毛糸は空気を含んだ柔らかい毛羽の多い糸。フランネルやツイードなどの風合いのある生地によく使用される。写真:©Marty. Image from BigStockPhoto.com |
【紡毛糸】空気を含み柔らかく毛羽の多い糸。いろいろな風合いを持たせることができる。
【梳毛糸】繊維を平行に揃えて撚りをかけた糸。摩擦に強く、切れにくい。
平織と綾織
ツイルと呼ばれる綾織。斜紋線と呼ばれる斜めの線が入った織ィ。 |
【平織】たて糸とよこ糸を交互に浮き沈みさせて織る、単純な織物。
【綾織】たて糸とよこ糸が2本以上連続して織られる織物。生地目が斜め方向に連続する。この線は斜紋線(しゃもんせん)と呼ばれ、英語でツイルというのは綾織のことだ。
代表的なスーツ生地
生地が起毛し、保温性の高いフランネルは、秋冬のスーツに使用される生地。写真:©DOConnell. Image from BigStockPhoto.com |
【代表的なスーツ生地】
■サージ
クリア加工(生地表面の毛羽をなくす仕上げ)を施した織物。サージとは織り方ではなく、クリア加工を施した織物のことだ。生地表面が滑らかで肌触りがよい。学生服によく使用されている生地だ。
■サキソニー
主に紡毛糸または梳毛糸の綾織で、柔らかくて軽い生地。うっすらと毛羽があり、メリノウールを使用している場合が多い。
■フランネル
紡毛糸を平織または綾織で織った織物。生地の両面が起毛し、肌触りが柔らかい。主に、秋冬のスーツ生地として使用される。
■ツイード
紡毛糸を綾織で織ったスコットランド特産のざっくり感のある毛織物。秋冬のスーツ生地として使用される。
■トロピカル
細番手の梳毛糸を平織で粗く、薄く織った織物。通気性がよく、さらりとした肌触りが特徴。主に、サマースーツの生地として使用される。
■ギャバジン
梳毛糸や綿糸を綾織で織った織物。バーバリーのコートは、ギャバジンに防水加工のコーティングを施したもの。織り目が非常に細かく、光沢のある仕上げが特徴だ。スーツやコートの生地としてよく使用される。
シーズンで生地を選ぶ
ざっくり感のあるツイードの生地は、暖かく、クラフト的なイメージをつくる秋冬の素材。写真:©Stormcrow. Image from BigStockPhoto.com |
サージ ⇒ オールシーズン
サキソニー ⇒ 薄めのものは春。厚手のものは冬。
フランネル ⇒ 秋、冬
ツイード ⇒ 秋、冬
トロピカル ⇒ 春、夏
ギャバジン ⇒ コットンは春夏。ウールはオールシーズン。
イメージで生地を選ぶ
生地の風合いによってスーツのイメージはずいぶんと変わってくるものだ。サージやギャバジンはシンプルで男性的なイメージを演出し、フランネルは正統派でトラディショナルな反面、カジュアルにも合う柔らかさがある。生地が醸し出す雰囲気は様々。そのイメージを考えながら、スーツを選ぶことも自分に相応しいスーツを見つける上で大切なポイントの一つだ。それぞれの生地のもつイメージは次のとおり。サージ ⇒ シンプルで、男性的なイメージ
サキソニー ⇒ 高級で、ソフトなイメージ
フランネル ⇒ 伝統的で、柔らかなイメージ
ツイード ⇒ 暖かく、クラフト的なイメージ
トロピカル ⇒ 涼しく、ライトなイメージ
ギャバジン ⇒ クラシックで、男性的なイメージ
以上、スーツ生地と選び方のポイントを解説した。スーツ生地の知識を身につけるには、頭に知識を詰め込むよりも実際に触ってその感触を確かめるのが一番。お店に行って“フランネルのスーツを探しているのだが”などと生地を指名して選んでもらい、その風合いや着心地を試すのがいいだろう。
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