デュレというブランド
1988年パリで創業したデュレ。とくに手縫いのベルトはヨーロッパでも評価が高い。 |
靴好きや鞄好きは多くてもベルトにまでこだわる人はまだまだ少ない。カジュアル系のベルトはそれほどクオリティを求められないが、スーツに合わせるベルトとなると、革だけでなく、縫製などにもこだわるため高額になってしまう。
現在、最高峰のベルトといえばジェイエムウエストンやジョン ロブ(既製)だろう。実際に手にとってじっくり見たことがあるが、丁寧に仕事をしているし、やはり革もいい。ところがこれらを凌ぐ凄いブランドがあったのだ。
今回紹介するパリのデュレ(duret)というブランドである。
1988年、ミカエル・ベナロッシュ氏によってパリで創業し、当初は靴のリペアやモディフィケーション(変更、修正)のお店としてスタート。
現在ではハンドメイドの高級皮革製品(名刺入れ、システム手帳、財布、鞄など)を手掛けている稀有なブランドなのだ。
まだ日本ではあまり知られていないが、その確かな品質はフランスの有名メゾンからも絶大な支持を得ている。
すべて最高の素材を使う
ボー グレネの革にオフホワイトの麻糸、つや消しゴールドのバックルを用いたベルト。カジュアルな雰囲気のなかにも高級感が漂う。これならデニムにも似合いそうだ。 |
デュレのベルトを見てみると、上質のカーフ(銀面を残したフルグレインレザー)を使い、手縫いによって仕上げられている。しかもオーダーメイドによる販売というのも魅力である。
オーダーメイドといってもいわゆるパターンオーダーのようなもので、表面の革、裏面の革(ボックスカーフ/ベージュ、黒、オレンジの3色)、縫い糸の色、バックル(スクエア、デルタ、アルファの3型/ゴールドとシルバーのマット、光沢あり)を選んで組み合わせるというもの。
そしてベルトの穴数(1つまたは3つ)、ベルトの長さを指定できるのである。
ホームページから注文できる基本となる革は3種類ある。
ボー グレネ・・・上質カーフの型押しで、マットで落ち着いた風合い、温もりのある感触。/色はゴールド、黒
ボー バレニア・・・表面はマットで弾力性があり、オイルを含んでいるため防水性に優れる上質カーフ。一説には母乳を飲んで育った子牛の革で、強度があるといわている。時間の経過にともない色に深みが増す。/色はゴールド
ボックスカーフ リス・・・滑らかな上質カーフにガラス加工を施すことでラグジュアリーな光沢感を表現。ドレッシーな雰囲気になるのでスーツに最適である。/色はチョコ、ベージュ、黒
上記3種類の革で仕立てると価格7万9000円(税込)である。高いといえば高い金額であるが、高級な素材と職人による手縫いを考えれば、それほど高くはないだろう。
その他、オーストリッチやワニ、サメなどの革で作ることもできるようだ。こういう特別な革はメールで問い合わせてもらいたい。
ベルト芯にグラスファイバー
細い帯状にしたグラスファイバーを芯材に使用。職人による手縫いと、新しい素材の組み合わせというのが興味深い。 |
表面の革と裏面の革には上質カーフを使っているが、その間に入れるベルト芯にはボックスカーフを使っている。
それだけでも凄いことなのだが、さらに細い帯状になったグラスファイバーを入れて補強しているのである。
長年ベルトを着用していると、腰のあたりがU字状にカーブしてしまうことがある。グラスフィバーを用いることでそういった変形を防ぐ効果があるのだ。
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