イージーオーダーの補正レベルではない
『MIZUOCHI TAKAHIRO』のスーツ。クラシックな雰囲気が漂っています。2ピース 31万5000円(税込み/中心価格帯)、3ピース 40万9500円(税込み/中心価格帯)。 |
水落氏/イージーオーダーと同じように、お客様にもっとも近いサイズのゲージサンプルを着ていただきます。
その後のピンで摘まんでいく工程は似ていますが、補正レベルはビスポークに限りなく近いです。
よくあるイージーオーダーはコンピューターでいじれる範囲内での±の増減です。
私の場合は、なで肩やいかり肩、反身や屈身、右肩下がり、肩幅が小さいといった補正など何でも行います。
これらのデータを詳しく書き込んでいき、それをもとにお客様のためだけに型紙をおこします。
ただビスポークとは違って仮縫いの工程がありませんが、ゲージサンプルを仮縫いとみたてています。
つまりゲージサンプルが仮縫いのフィティングなんです。
テーラードの系譜にともなったショルダーシーム。背幅を生み出すイセ込みは、直接的に着心地を左右する。 |
水落氏/ビスポークの芯地の場合、すべて厳選した素材を使って、使用する生地との相性だったり、あるいは着心地を優先したりと、臨機応変にいろいろ組み立てていきます。
この『MIZUOCHI TAKAHIRO』レーベルではそこまでは対応できません。
もちろん既製の接着芯なんかじゃないですよ(笑)。ビスポークのものをベースにしていますが、私自身が設計したもので、柔軟性のあるしっかりした特別仕様のものです。
柔らかいとか、薄いとか何種類か揃えています。これからもっと種類を増やしていく予定です。
試着するサンプルゲージには、ベースとなるレギュラーの芯が標準装備されていますから、着たときにもう少し柔らかいほうがいいなど、お客様が体感できるようになっています。
倉野 心の声&まとめ/つまり仮縫いはないけど、サンプルゲージで仮縫いのフィッティングをしているわけ。
水落さんが型紙をひいて、お客さんと選んだ生地と一緒に縫製工場に送るというシステムなのだ。
よくあるイージーオーダーは採寸データを工場に送って、コンピューターで生地を裁断しちゃうからね。
水落さんの場合はおそらく型紙をひく段階で補正する箇所などを反映させているのでしょう。