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吉田スーツが手掛ける1930年代リゾートスタイル 盛夏に装うパーム スプリングス(2ページ目)

毎回興味深いスーツを提案してくれる吉田スーツ。今回は1930年代を彷彿させるダブルブレストのリネンスーツ! その名は「パーム スプリングス」。もちろんパターンオーダーなので他の生地も選べる。

倉野 路凡

執筆者:倉野 路凡

メンズファッションガイド

1980年代半ばに流行った1920~'30年代スタイル


1985年春夏 テイジンメンズショップのカタログ
1985年春夏 テイジンメンズショップのカタログ。テーマは「ザ・ヴォヤージ」。1930年代、'40年代への旅です。マドラスコットンのジャケット、パナマ帽、リネンのグレンチェック・スーツなど、カタログ全体から、リゾートスタイルの雰囲気が漂ってきます。私物。
また昔話になるけれど、1980年代半ばにこのテのリゾートファッションが日本で流行りました。

エーボンハウスアラン・フラッサーラルフ・ローレンジェフリー・バンクスなんかも、'30年代を意識したドレープスーツを発表してましたね。

ボクもエーボンハウスのケント・モデル(6つボタン1つ掛けのダブルブレストのブレザー)にホワイト・バックス(シェトランドフォックス製)を合わせて、オプティモをかぶっていたから、このスタイルの魅力はある程度わかります(笑)。


パパ・ヘミングウェイ
パパ・ヘミングウェイ/加藤和彦/CBS・ソニー。とくにスモール・キャフェ、アラウンド・ザ・ワールドが大好きでした。私物。
親友J・G氏と、'80年代初め~中頃によく聴いたレコードが、加藤和彦さんの「パパ・ヘミングウェイ」のアラウンド・ザ・ワールド、「ベル・エキセントリック」のAmerican Bar、「うたかたのオペラ」のルムバ・アメリカン、絹のシャツを着た女。レコードが擦り切れるくらい何度も聴きました。

あと、映画「華麗なるギャツビー」のビデオで立ち居ふるまいとチャールストンのステップを勉強し、フィッツジェラルドの短編集を読むといった、まさにジャズエイジな日々でした。お小遣い貯めて、金子国義さんの画集を買ったりね・・・。


うたかたのオペラ
うたかたのオペラ/加藤和彦/CBS・ソニー。ルムバ・アメリカン、絹のシャツを着た女は最高です。「美しい女(ひと)を風が追いかける」という詩を書いた安井かずみさんが素敵です! 作品全体に1920年代~'30年代の空気が流れています。私物。
こういうディープな世界にどっぷりつかった人たちが後年、ドレーパーズベンチやコイーバに走ったのだと予想がつきます(笑)。

これまた余談ですが、1984年にトシちゃんが「チャールストンにはまだ早い」という曲を歌ってました。NHKの紅白ではちょっと転倒しちゃったけど。

あれはジュリーの「アマポーラ」のせいですね。バイロン卿を彷彿させる演出とはいえ、舞台で血をドクドク出してはいけません。でも誰よりも輝いていました・・・。'80年代という時代が、'20~'30年代の空気感を愛したというわけですね。


ベル・エキセントリック
ベル・エキセントリック/加藤和彦/CBS・ソニー。すべの曲が好きなんですが、American Barは何度も聴きましたね。このアルバムは1920年代が凝縮しています! ん~、やっぱり安井かずみさんの詩は素晴らしいです・・・。私物。
フーッ、久しぶりに'30年代調の服を見て興奮してしまいました!

さて、吉田スーツ製「パーム スプリングス」を見て、ゴージラインがどうの、ラペル幅がこうのなど、'30年代マニアにはいろいろ意見はあることでしょう。

しかし大切なことはその時代の雰囲気を楽しむためにスーツを誂えて欲しいのです。コテコテの'20~'30年代スタイルも悪くないけれど、どこか解放されたいんですよね。昔の「エスクァイア」から飛び出てきたようなスタイルは、ちょっとお腹いっぱいなんです(笑)。


次のページは、「パーム スプリングスをどう着こなすか」です
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