セキュリティ対応という新発想
ここまでは主にケースのカスタマイズを見てきたが、「ケ・ド・リル」のパーソナル・モデルには、ほかにもセキュリティ対応という革新的な特徴がある。
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レーザー彫刻や、銀行紙幣やパスポートに利用される最新のセキュリティ対応印刷というハイテク技術が駆使された世界初のサファイアクリスタル文字盤。特許出願中 |
まずは文字盤である。文字盤はカバーガラスと同様にサファイアクリスタルを用いており、ムーブメントが見えるシースルーになっているが、これがじつに凝っている。数字やインデックス、ロゴ、その他パターンなどにレーザー彫刻や、銀行紙幣やパスポートに利用される最新のセキュリティ対応印刷というハイテク技術が駆使されているのである。通常の光のもとでは読めないインクで印刷が施されているとは驚きだ。こうした偽造防止の試みは高級時計の分野ではもちろん初。ヴァシュロン・コンスタンタンが「通常の時計の文字盤と似ているところはまったく存在しない」と胸を張るのもわかる。パーソナル・モデルを作る場合にも心強い。
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パスポートと呼ばれる保証書もセキュリティ対応 |
「パスポート」と呼ばれる保証書もじつに念入りだ。仕様は本物のスイスのパスポートと同じ。文字盤と同じく、セキュリティ対応印刷技術が用いられている。ここには腕時計の写真とともに、レーザー目打ちによるパスポート固有番号や、ケースやムーブメントの番号も記される。目には見えないUVマーキングや可変光インクによる太陽のモチーフ、角度によって見える潜像、画像が立体視できるトランスビジョンなど、凝りに凝っている。もちろんこんな保証書も前代未聞。
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パスポートを始め、交換ストラップと工具、トラベルポーチ、USBキーなどが収められた特製化粧箱にもこだわりが |
店頭ディスプレーをミニチュア化した化粧箱には、パスポートを始め、交換ストラップと工具、トラベルポーチなどが収められ、さらに、パスポートの詳細、時計のデータシートや取扱説明書、顧客サービス、広報資料や動画などを盛りだくさんに収録したUSBキーまで付属する。USBキーにした理由は、持ち運びに便利で、紙資源の節約のためだそうだが、環境への配慮も忘れないとは恐れ入る。
とにかく、なにからなにまで新機軸を打ち出してきた「ケ・ド・リル」。今年一番の「すごい時計」と言えるかもしれない。記事を読まれた方は、自分だけのパーソナル・モデルをさっそく作ってみたくなったのではないだろうか。
【問い合わせ先】
ヴァシュロン・コンスタンタン TEL03-3288-6597