機械式時計の未来を変える「コーアクシャル」

今年のオメガの最大の話題は、「デ・ビル アワービジョン」という新しいコレクションの発表である。これは、革新的な「コーアクシャル脱進機」をさらに改良、進化させた新設計の機械式ムーブメント、キャリバー8500と8501がなんといっても特徴。2000年より開発プロジェクトが進められ、完成に7年を要した記念碑的な作だ。それらはまた、オメガにとってはじつに30年ぶりとなる自社開発ムーブメントでもある。

オメガ・キャリバー8500
「アワービジョン」に搭載された新開発コーアクシャル・ムーブメント「キャリバー8500」
では、「コーアクシャル」とは何か? それを説明するには、「脱進機」の仕組みについて知る必要がある。機械式ムーブメントは、ゼンマイを動力にして動くが、そのエネルギーを一定の割合で調速装置のテンプに供給し、なおかつテンプの規則正しい振動をフィードバックして歯車を正確に回転させるのが「脱進機」という制御システムだ。ムーブメントの中で最も頻繁に動く(1時間に数万回)この部分には、つねに大きな摩擦が生じ、したがって潤滑油の定期的な注油が不可欠である。この問題は何世紀もの間、解決策が見つからずにいたのである。

オメガ「デ・ビル コーアクシャル センタートゥールビヨン クロノメーター」
「デ・ビル コーアクシャル センタートゥールビヨン クロノメーター」。自動巻きコーアクシャル・トゥールビヨン・ムーブメント、COSC認定クロノメーター。18Kレッドゴールド・ケース。予価1242万1500円
「コーアクシャル」は、脱進機に同軸ガンギ車(名称の由来)と特殊形状のアンクルを用い、摩擦や注油を激減させた画期的な方式だ。これによって、耐久性が増し、長期にわたって高い精度が実現できるようになった。機械式時計は、性能維持のためにメンテナンスが不可欠だが、そこに一つの画期的なソリューションを見出したのがオメガだった。1999年に実用化に成功し、しだいに搭載モデルを増やし、ごく近い将来、機械式モデルはこのタイプのムーブメントに置き換わることになる。

ちなみに今年は、機械式複雑時計の最高峰モデルにも「コーアクシャル」を応用。中央にキャリッジをレイアウトした「デ・ビル コーアクシャル センタートゥールビヨン クロノメーター」という、とてつもない腕時計が発表された。名実ともにオメガ=究極を語るにふさわしい逸品だ。

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