革新的なムーブメントが魅力

スウォッチは、シーズン毎に多種多様なデザインで楽しませてくれるカジュアルなファッションウォッチとして根強い人気を誇る、スイスの代表的な時計ブランド。そのスウォッチに幻の機械式複雑時計が存在することは、マニアや時計専門家たちの間でよく知られている。2001年に発表された「ダイアフェーン・ワン」というモデルだ。ワンオフでの発売が基本のスウォッチだけに再登場が長らく待望されていた、マニア垂涎の幻のコレクターズ・アイテムである。

「Turn 2 Him (ターン・トゥ・ヒム)」
「ダイアフェーン・ワン」のバージョンアップした最新モデル「Turn 2 Him (ターン・トゥ・ヒム)」。手巻き、50時間パワーリザーブ。プラスティック・ケース(直径42mm)、ホワイトゴールド・ベゼル。世界限定130本、日本入荷数5本、99万7500円

「ダイアフェーン・ワン」の特徴は、なんといっても革新的なムーブメントにある。スウォッチといえば、あくまでもデザインが主体であり、ムーブメントは一部の機械式を除いてクォーツなのだが、「ダイアフェーン・ワン」の場合、トゥールビヨンやカルーセルと同様に、重力によって生じる誤差(姿勢差)を補正する特殊な設計の機械式ムーブメントが採用されているのである。そのため、「スウォッチ・トゥールビヨン」とも俗称されていた。

ムーブメントの仕組みはこうなっている。まず時針と分針がセットされた中心軸の周りに注目していただきたい。複数の歯車から成る輪列やテンプとガンギ車を組み合わせた脱進調速機が針を取り囲むように配置されており、これらを支持するブリッジが見えるだろう。文字盤側から見えるこのムーブメントの上部全体が回転しながら刻々と移動していくのである。

「Turn 2 Him (ターン・トゥ・ヒム)」
「Turn 2 Him (ターン・トゥ・ヒム)」は、高級感あふれるブラックのアリゲーター・ストラップを組み合わせる

詳細な設計図を参照していないので定かではないが、中央を軸としてムーブメント自身をそっくり回転させる発想は、テンプが軌道を描きながら移動していく、いわゆる「オービタル・トゥールビヨン」の原理を思わせるものがある。「ダイアフェーン・ワン」のムーブメントは30分で一周する。つまり5分も見ていれば、角度にして60度も移動するのだから、目で見ていても動きがよくわかる。報道資料に「その姿は、あたかもステージが回転しているかのよう。(中略)。文字盤の前面に配置されたテンプは、時を刻むごとにその位置を変え、見るたびに表情が変わる芸術的な動きを見せる」と表現されているが、まさにその通りだ。

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