男の腕時計/スイスの老舗高級ブランド

トゥールビヨンの元祖、ブレゲの新作に注目(3ページ目)

高度な誤差補正機構のトゥールビヨンを搭載する複雑時計が人気の的。スイスの時計展示会でも、毎年さまざまなモデルが発表される。ブレゲは今年、画期的な3モデルを揃えて、発明者そして元祖の貫録を示した。

執筆者:菅原 茂

現代的に進化したトゥールビヨン

3本目の新作トゥールビヨンは、スポーティな「マリーンII トゥールビヨン・クロノグラフ」である。昨年に新作として発表されたモデルだが、ムーブメントの部品の素材に変更が加えられている。

ブレゲ「マリーンII トゥールビヨン・クロノグラフ」
「マリーンII トゥールビヨン・クロノグラフ」。手巻き、18Kピンクゴールド・ケース。直径42mm。予価1651万6500円

まずは、「脱進・調速装置」の主要部品のアンクル、ガンギ車、そしてテンプのひげゼンマイにシリコン素材が用いられている点だ。シリコン素材といえば、いま最も注目される先端素材である。従来の金属部品と異なり、軽くて耐久性に富み、性質が安定しているので、動きが激しく、摩擦や摩耗の問題が避けられない「脱進・調速装置」にはまさに理想的な素材だ。注油の必要もない。18世紀にアブラアン・ルイ・ブレゲも、摩擦と注油の問題に取り組んでいた。トゥールビヨンを発明した背景には、誤差のみならず注油問題の解決も含まれていた。現代の最先端技術がそれにひとつの回答を与えたことになる。

さらに、このモデルの場合も、トゥールビヨンのキャリッジの一部にチタンが用いられている。軽くて強いチタンもやはり、トゥールビヨンには理想の素材である。このような素材によってもたらされた成果を受けて、ブレゲ社のスタッフは「現在考えられる最も進化したトゥールビヨン」と胸を張る。トゥールビヨンの元祖ながら、伝統にとどまることなく、革新を通じて他に先んじようとするブレゲの姿勢には、ただならぬものがある。

【問い合わせ先】
スウォッチグループ ジャパン ブレゲ事業部 TEL03-6254-7171
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