男の腕時計/スイスの老舗高級ブランド

新生「ダ・ヴィンチ」で飛躍するIWC

スイス時計界で独自の地位を占めるシャフハウゼンのIWC。今年の話題はなんといっても「ダ・ヴィンチ」の新コレクション。創業140周年を来年に控え、あらためて「技術のIWC」を印象づける傑作だ。

執筆者:菅原 茂

「ダ・ヴィンチ」がトノー・ケースでリニューアル

IWCは、1985年に機械式時計復活の重要な契機となる複雑時計を発表した。西暦2499年までの永久カレンダー表示とクロノグラフ機能を併せ持つ画期的な「ダ・ヴィンチ」である。IWCにはパイロットウォッチや、大型高精度腕時計「ポルトギーゼ」、耐磁設計の自動巻き腕時計「インヂュニア」など、歴史的な傑作も多く、とくに「ダ・ヴィンチ」が「技術のIWC」を象徴してきたことは、広く知られている。実際、「グランド・コンプリケ-ション」へと至るIWCの複雑時計への道のりは、この「ダ・ヴィンチ」によって開拓されたのである。

IWC「ダ・ヴィンチ」3モデル
新生「ダ・ヴィンチ」。左:「ダ・ヴィンチ・オートマティック」SSケース、自動巻き、69万3000円(ほかに18KPGモデルあり)。中:「ダ・ヴィンチ・クロノグラフ」18KPGケース、自動巻き、277万2000円(ほかにSS、18KWG、PT限定モデル)。右:「ダ・ヴィンチ・パーペチュアルカレンダー“クルト・クラウス”」PTケース、自動巻き、価格未定(ほかに18KWG、18KPG)

今年は、その「ダ・ヴィンチ」にちょっとした異変が起こった。おなじみのラウンド・ケースからトノー(樽形)に変更した、「ダ・ヴィンチ」の登場である。長く「ダ・ヴィンチ」に親しんできた者にとっては、少々違和感を覚えるかもしれないが、コレクションを一新するにあたってIWCが選んだカタチが、トノーなのであった。

じつは、このような背景がある。永久カレンダー・クロノグラフに先立つ1970年に、IWCは「ダ・ヴィンチ」の名を戴く腕時計をすでに発表していたのである。それは、当時の最先端技術を駆使したクォーツ・ムーブメント「ベータ21」を搭載するトノー形腕時計だった。クォーツにしろ、機械式複雑時計にしろ、IWCにとって最高のテクノロジーは、つねに万能の天才の名に象徴されてきたわけだが、今回の大胆なデザインは、一種の温故知新をふまえ、トノーの現代的アップデートという意味合いもあったのだろう。

新しい「ダ・ヴィンチ」のラインナップは、従来と同機能を備える永久カレンダー・クロノグラフ・モデル、クロノグラフ・モデル、自動巻きモデルの3種。とりわけ注目されるのが、完全新設計によるクロノグラフである。

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