12気筒の刺激にやられた!
4.7リッターエンジンのV8ヴァンテージをベースに、6リッターV12を搭載した2ドアクーペ、アストンマーティンV12ヴァンテージ。サイズは全長4380×全幅1865×全高1241mm、価格は2173.5万円となる。なお、生産は今後2~3年で1000台を上限とする |
エクステリアはダウンフォースを改善しつつ空気抵抗を減らすため、エアロパーツを多数装着。ボンネットルーバーなどは併せて熱対策にも貢献する |
そういう話を、アストンマーティンでニュル24時間を走りクラス優勝された経験もあるジャーナリストの桂伸一さんに話をしたら、「わかるけど、そもそもV8ヴァンテージで十分でしょ?」と切り返されたので逆に言い返しておいた。「腕達者で速く走れるスポーツカー乗りにはバランスのいいV8で十分でしょうけど、気分重視で飛ばさないスーパーカー乗りにはV12くらいの感覚刺激がないとダメなんですよ」
つい乗りながら叫んでしまったが、12発に比べれば8発はちょっときれいで速いフェアレディZみたいなもん。それくらい、伝わってくる刺激が違う。このご時世「なんちゅうクルマに乗ってんねん」と言われることを覚悟のうえで走り出したけど、アクセルひと踏みサウンドひと聞きでそんな謙虚な気持ちはすっかりどっかへ消えうせたね。アクセルペダル踏むのが気持ちいい~。
ボディはDBSをひと回り小さくした感じ(当たり前だけど)。見た目にも、カーボンパーツがけっこう派手にあしらわれていて、クリーンなクーペスタイルにちょっとしたアバンギャルドさを与えている。のどごしの爽やか過ぎたV8に比べて、ちょっと引っかかる感じが逆にいい。クリーンすぎるのはどうかと思うのだ。
パワートレインの特性を変更できるスポーツモードを備える。ダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)は横滑り防止機能の介入タイミングをボタン一つで変更可能とした |
インテリアもDBSモードが入っている。クリスタル製のキーは、落としてキズでもつけたらものすごく悲しいだろうけど、特別なクルマを運転するのだ!という気持ちにはさせてくれる。キーを思い切り押し込んで、エンジンスタート。朝一番の、ド迫力のサウンドは、とても近所迷惑ではあるけれど、腹底に響き渡って気持ちがいい。
マニュアルミッションのみだ。いまどき、と思われるかも知れないが、そのうち3ペダルMTなんて絶滅する。今の内、この感触を精一杯楽しんでおきたい。クラッチペダルは、やや重め。スカイラインGT-R(R34)くらいだろうか。
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