カー・オブ・ザ・イヤー、大賞はプリウスに
国内で発表された乗用車の中から年間を通じて最も優秀なクルマを選ぶ日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)。30回となる今年は東京モーターショーを会場に、11台の一次選考対象車(10ベストカー)から賞が選出された。インポート・カー・オブ・ザ・イヤーはVWゴルフ(写真)が受賞している |
カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたトヨタプリウス。受賞理由は「ハイブリッドというカテゴリーを生み発展させた結果、時代のニーズに対応している。また手の届く価格で他の追従を許さぬ緻密な制御システムを評価。環境問題に新たな技術で挑戦、大きな成果を上げた」 |
事実上、国産ハイブリッド2強の大賞争い。ここにEVの三菱アイミーブ(仮に賞を取ったからと言って、明日買いにいく訳にいかない点がものすごく変!!)が加わり三つ巴のエコカー対決。その影で、どうにもかすんでしまったのが、輸入車のタイトル争いだった。
実は今年って、かなり輸入車の当たり年だったと思う。10ベストに選ばれたVWゴルフ、MベンツEクラス/クーペ、ボルボXC60、アルファロメオミトの他にも、VWパサートCCや同シロッコ、アウディQ5、MベンツGLKクラス、BMWZ4、同7シリーズ、ミニコンバーチブルにルノーコレオス、プジョー308CCと、いずれ上デキ揃い。ボクなどは、純粋に乗って気持ちのいいクルマを選べば10ベストすべて輸入車でもいける、と思ったほどだ。もちろん、国産にもフェアレディZやアクセラ、レガシィといった“乗り味のいい”クルマもあったけれど。
もっと“激戦”になるかと思いきや、意外にゴルフとEクラスのトップ争いが盛り上がらなかった。プリウスとインサイトの2台に高い得点が集中(たとえばプリウス10点でインサイト8点とか)したため、輸入車への得点配分が低くなりがちだったためだと思う。
税制の優遇措置など、輸入車に対しては“追い風”のまるでなかった一年。日本の新車販売台数において、もともと一割に満たないニッチグループの販売台数が軒並み三割以上ダウンという事態では、東京モーターショー不参加というしっぺ返しも仕方なし。せめてCOTYくらい輸入車を盛り上げる策を講じるべきだったか……。
日本の街を走るクルマ、すべての中から一番を決めるというコンセプトは理解できるが、ならばいっそヨーロッパあたりと同様にわかりやすく“一番”だけでいいのでは、とも思う。輸入車を区別せずに投票し、事後に区別するという二重構造が、賞全体の陳腐化を招かなければいいのだが……。特別賞のあり方、決まり方、意義、選ぶ方の責任感も含めて、再検討する価値は十分にあると思う。
とはいえ、輸入車に対しては「日本で商売するなら頑張って対抗しうる判りやすいエコカーをもっとくれ」と言うこともできる。まあ、“そんな面倒くさいことを言うんやったら中国だけで頑張るしええわ”とあっさり返されることは東京ショーを見ても明かだが。
客観的にいって、大衆ウケするエコカーという観点で見劣りするクルマが多かったというわけなのだが、そもそも輸入車は大衆ウケするカテゴリーではないし、実際のユーザーは手元資金の先細り警戒感から輸入車を新車で(買いたいけど)買えなくなっていっそ言い訳のたつハイブリッドあたりに乗り換えるか、世間の目をおもんばかってモデルチェンジを一回待つことにしたかのどっちかだろう。ガイシャを買うことの意味や理由に疑問を抱く人が増えたとしても、そのこととクルマそのものの評価は別だ。われわれは売れるクルマ、人気のあるクルマを選んでいるわけじゃない。こと賞という観点からみれば、やっぱり同じ土俵じゃ語れないなあ、ボクは思う。あえて輸入車を買うということの趣味性には、別の評価軸も必要だろう。
日本人である限り、自国の基幹産業には敬意を払うし新たな興隆を期待する気持ちはずっと持ち続けている。別に輸入車を保護/擁護するつもりは毛頭ない。けれどもあえて言う。ガイシャの走っていない街もまたツマラナイ。
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