開発目標はクーペ、本質はリアルスポーツ
最高出力450ps/最大トルク480Nmを発生する4.7リッターV8エンジンを搭載。ATモード付き6速シーケンシャルミッション(Qセレクト)を組み合わせた。最高速度290km/h、0-100km/h加速は4.4秒とされる |
実際に乗ってみるとどうか。確かに下半身ががっちりとした、ほとんどクーペと変わらない走り味だ。もっとも、ルーフがない分、ほんの少し力が抜けた印象がある。決して柔になったというわけではなく、未だに硬派なスポーツカー丸出しではあるけれど、わずかにマイルドになった。それをして、洗練、という言葉を使ったのだろう。最近の良くできたオープンカーはたいがいそうで、昔のようにボディがゆるゆるになるなんてことはない。
よりニュートラルステアに感じられて扱い易くなってはいるが、決して“ライフスタイル”で語るようなラグジュアリィカーでないことは確か。見るだけでなく操る楽しみ、つまりはスポーツカーの本質を理解できる人に勧めたい。
見かけはエレガントだし、究極のスペシャリティカーとして乗れそうなものだが、本質は硬派なリアルスポーツ。だからといって、手動の操作が二つも入るオープンって今頃どうよ、とは思うものの、それだって余計な重量増や電気仕掛けを使いたくなかったからだと、好意的に解釈しておこう。
特に、オープンにしてフェラーリも顔負けのエグゾーストノートを聞きながらのドライブは、乗り手を狂喜乱舞させる。エンジンを回すことが楽しくて仕方なく、できれば横に人など乗っていて欲しくないほどだ。8Cはスパイダーになっても、一人で乗りたいスポーツカーであった。
正直に言って、兄弟車のフェラーリカリフォルニアよりも、20世紀的なスポーツカー度は高い。五感で快楽に浸る、良い意味でオールドファッションを満喫できる、とても操りがいのあるスポーツカー。たとえるなら、新車で乗れるヴィンテージカーのようなものだった。
2重構造のソフトトップは電動油圧式で約20秒で開閉可能。標準色のブラックのほか、オプションでブラウンとレッドも用意する。ボディカラーはアルファレッド(標準)、コンペティツィオーネ レッド、シェル ホワイト、マグネシウム グレー、ライト ブルーを設定 |
ボディ色はやっぱり白系が似合うかな。新設定のパールホワイトやグレイがよく似合うと思う。そのかわり、インテリアを思いっきり派手にして……。クーペもそうだけど、ハイライトが強調されるような淡い色の方が8C系にはよく似合う、と言ったのは8Cのオリジナルデザインに携わった現アウディのウォルフガング・エッガーであった。