ルノー/トゥインゴ

トゥインゴに見つける“未体験の価値”(2ページ目)

本質的にはその土地の環境や人々の生活に見合うようにできているガイシャにびたっとハマってしまう…。欧州のベーシックコンパクトモデル、ルノートゥインゴに乗りながら、その理由を考えて見ました。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

“違う何かに触れる刺激や感動”をもつガイシャ

ルノートゥインゴ
オーバーハングを短くしタイヤを車体の四隅に配置することでスポーティなスタイルに仕上げられた新型

ルノートゥインゴ
ルノートゥインゴ
GTにはシルバーのリアスポイラーやミラー、パノラミックガラスルーフなども装着される
トゥインゴに付き合ってみて、答はひとつに集約されると思った。それは、クルマって結局、グローバル化がどうしたこうしたとは言っても、本質的にはその土地の環境や人々の生活に見合うようにできている、ということ。要するに、日本車は日本人に合うから、まるで水や空気のような存在だし、一方、欧米のクルマは基本的には合わないからこそ余計に心に引っかかる。

じゃ、欧州のベーシックカーなんて乗らなくていいじゃない?

そうなんだけど、そこにクルマを運転することが好きという“主体性”があれば、そもそも運転好きな欧州の人たち用に作られたクルマだから、一部だけびたっとハマってしまう可能性があるのだと思う。僕なんかは、さしずめその一部。

トゥインゴなんて、その装備内容や質感はおそらく国産軽自動車に劣る場合もあるだろうし、燃費やリセールといった経済性を考えれば国産リッターカーにまったく及ばない。もちろん、イニシャルコストも海を渡ってきた分、高い。

けれども、そこには、小さな街中を辛抱して抜けるといきなり自然いっぱいのカントリーロードが開けて全開で走れる、といった土地柄を想像せずにはいられない、小気味のいいドライバビリティがあった。その一点をして、運転好きの僕は“いいクルマだなあ”と思ってしまう。変わらぬ日常生活の中で、違う何かに触れたという刺激や感動があったりする。

結局、ガイシャに乗るってそういうことだ。総合的に見れば国産車に敵わないことが多い。趣味性の強いスーパーカーやステータス重視の高級車ならいざ知らず、日常域で使うクルマの場合は特にそうだ。けれども、そんなガイシャの中に、日本に住まうユーザーが日本車に乗っている限り決して得られない“何か”を見つけたとき、価格や機能性を超えて、大げさにいえば日常生活をさらに前進させる力として、それは未体験の価値となるのだと思う。

というわけで、トゥインゴGT。国産リッターカーより優れたところなんて客観的にはほとんどないのだけれど、軽快な足裁きに代表される運転中の満足度だけは、国産リッターカーを大いに上回るものだったと言っておく。

ルノートゥインゴ
センターにスピードメーター、ステアリング奥にタコメーターが配置されるなど個性的なデザイン。左右独立式の後席はスライド幅が220mmある


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