BMW/BMWの車種情報・試乗レビュー

“BMWであること”を深化させた3シリーズ(3ページ目)

ライバル達が進化する中、BMW3シリーズがマイナーチェンジを受けました。そのセダンに約1週間乗ってみて、新しい3シリーズは独自の世界を貫きつつさらなる成熟を果たしたことを感じました。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

BMWである必要性を感じさせる走り

BMW3シリーズ
フロントシートにアクティブヘッドレストを採用するなど安全性も向上する

走りは、相変わらず上等だ。335iのパワフルさは周知の事実だが、改めて乗ると、4千回転近くからのトルクのノリといい、高回転域のエンジンフィールといい、ドライバーを挑発してやまない。レスポンスの良さを右アシの裏で感じるようになれば、もうBMWの6発から離れられなくなる。

エンジンを掛けたあとの、振動やノイズは全てドライバーをせき立てる。少々せわしなく思えるほどだが、これくらい特徴のあった方が、今の時代は存在理由があっていい。そのブランドである必要性を感じさせないプロダクトなんて、いったい買う意味がどれほどあるというのか。 特に、国産車より高い(同程度のクラス比で)輸入車では尚更……。

だからこそ、BMWはマイナーチェンジでBMWであることを深化させたのだと思う。いまどきこれだけエンジンの存在を感じさせるクルマはないし、シャシーとの一体感を高めてくれるクルマもない。なんと言っても、こいつは見た目ただのサルーンだ。

ランフラットの乗り心地もかなり改善された。よほど注意深く隙を探らなければ、文句は見つからない。端的に言って、しなやかさが増している。コーナリング中の懐も深くなった。トレッド増も好影響を与えているのだろう。

ただ、自由になるハンドリングは多少気ぜわしく、長距離のドライブを遠慮させる気がする。もちろん、安定感はあるのだが、どんな場面でも曲がりたがる性質はそのままで、実際に曲がって走る(高速コーナーなど)とクラス最高のファンがある。ずっとそんな具合にやられたら、免許が幾つあっても足りない。

BMW3シリーズ
ツーリングと呼ばれるステーションワゴンモデルもセダン同様にマイナーチェンジを受けた

3シリーズは、楽しい実用車だ。だから、毎日、それほど長くない距離でも運転を楽しみながら走っていける。ただし、長い距離はけっこうしんどい。急いでいるならまだしも、のんびりとドライブ、というわけにはいかぬ。精神的に、急かされるのだ。今どき、こんな刺激的なクルマは珍しい。そこがBMWらしさ、か。

もちろん、右アシをちゃんと制御できるオトナならば、低回転域を上手く使って、クルマからの刺激を抑えつつ、ごくごくフツウのクルマのように走らせることもできる。世の中の、多くのBMWドライバーは、そのあたりのコツを掴んでいるから、年がら年中、気色張ってドライブするわけじゃないのだろう。BMWと長く付き合えるか否かは、貴方のセルフコントロール力にかかっているのかも知れない。

撮影:向後一宏・カーセンサー
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