変わり者だがとっても実用的なシトロエン
'08年1月に欧州でデビューを果たしたシトロエンのアッパーミドルクラスモデル。クロームを用いたダブルシェブロンが特徴的な個性的なデザインの外観をもつ |
「クルマは世界に二種類あって、シトロエンとそれ以外だ」、というのは所ジョージさんの名言だった。彼の真意はともかくも、歴史的に見ればそれほどユニークな存在であるということ。
もっとも、だからといって奇妙奇天烈なクルマかと言うとそんなことはなく、フランスの都会ではバリバリの実用車で生活に馴染んでいる。単に尖った偏屈なクルマというイメージもあったりするが、決してそうではなく、確かに変わり者だがとっても実用的という、そんなところにファンは熱狂するのではないだろうか。
ツアラーと呼ばれるステーションワゴンもラインナップされる。サルーン、ツアラー共に日本には3Lエンジンの3.0エクスクルーシブと、2Lの2.0を用意 |
かく言う私も、前々からシトロエンを憎からず思っている。けっこう好きな部類で、特にエグザンティアのブレークでハマった。なんていうと古くからのファンには底が浅いと言われそうだが……。まあ、それはともかく、あの東京~京都をひとっ走りなすこぶる心地いいグランドツーリング性能は今も鮮明に記憶されていて、日本仕様のタウンユースにおけるぎこちなさを補って余あるパフォーマンスだと思う。
以来、シトロエンの新型車は常に気にしてきたし、特にC3以降のモデルはどれも高く評価してきた。C6などに至ってはそのスタイリングにひと目惚れして乗る前に購入を決意。日本デビュー後、速攻で買ってみたほどだ。
C6というクルマも、その前衛的とも言えるスタイリングと、長く乗れば乗るほどに体に馴染むライドフィールが、比べるもののない、独自の価値をみせてくれた。もっとも、乗って全てが実用的かと言うとそうでもなく、朝ちょっと動かしてみて“今日は乗れてる”と思う日と、“今日はあってないな”と思う日がはっきり分かれてしまうという気まぐれさは人間っぽくって面白かった。
C5の走りについては次ページで