気持ちの良いMTと驚くべき芸当を見せるPDK

911タルガ
ティプトロニックSに替わる、2ペダルツインクラッチシステムのPDK(7速ポルシェ・ドッペルクップルング)も用意された

まずは4Sの6MTに乗った。乗り心地の良さに驚く。助手席に座っていても相当にいいから、デート用にもぴったり。“板に載せられた気分”と形容される従来の911の乗り心地とは一線を画している。これは、前後にリバウンドストップスプリングを新たに備え、コンフォートよりにセットされたサスチューニングの影響が利いているからだろう。それゆえだろうか、ノーマルとスポーツのセットでその差はごく少ない。

乗り心地の良さ以上に驚いたのは、MTの気持ちよさだ。残念ながら日本仕様のタルガには6MTの設定はないが、他の911にはある。PDKが話題だし、その性能も素晴らしいが、6MTも捨て難いというのが本音。本当に気持ちのいいシフトフィールである。

新しい3.8リッターは、パワー感の向上はもちろんのこと、上まで雑味なくキレイに吹き上がってくれたのが印象深かった。そのぶん、フラット6独特の味は薄くなった気もするが、これが時代の流れというものだろう。エグゾーストサウンドは、上を開けると豪快だ。気軽に下界の空気とふれあえるのもタルガの魅力。

911タルガ
4WDシステムも電子制御式(PTM)とされ、安定性やハンドリングがさらに向上している

PDK付きに乗り換えた。微速域で多少もたつくが、GT-Rほどひどくはない。ほとんどティプトロニックと変わらぬ動きだ。微速の前後進も難なくこなす。駐車場でも一安心だろう。

もちろん、シフトチェンジは小気味よくスムースである。キレイに回る3.8リッターフラット6との相性もいい。驚くのはスポーツ+モードだ。ワインディングのヘアピンではモノの見事に1速まで落ちる。これはMTでは無理な芸当(というか、怖い)。Dモードでも7000回転ちょいまできっちり引っ張ってシフトアップ。Dレンジでサーキットやワインディングを攻め込むのも面白いかも知れない。

クルマ全体としてのバランスの高さと、エンジンフィールの切れ味の良さでは、3.6リッターモデルに軍配を上げたい。個体差もいくらかあったが、総じて3.6リッターモデルの方が引き締まった走りをみせた。速さでも遜色ない。同じワイドボディだし、見栄えの相違も少ないから、自分で買うなら3.6リッターで十分だと思った。

日本ではイマイチ人気のないタルガシリーズだが、ガラスルーフの気持ちよさにハッチゲートの使い勝手の高さ、そしてノーマルシリーズとは明らかに異質な存在感を考えると、本当に贅沢な911として再評価したい。
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