ポルシェ/ポルシェ

本当に贅沢な911“タルガ”(2ページ目)

ガラス製ルーフとハッチをもつポルシェ911タルガにイタリアで試乗して来ました。直噴化されたエンジンと2ペダルツインクラッチシステムPDKを採用した911に、このタルガで遅ればせながら乗ることが出来ました。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

実用的かつラグジュアリーな“タルガ”

911タルガ
タルガ4に最高出力345psの3.6リッター、タルガ4Sには385psの3.8リッターの、直噴化された水平対抗エンジンが搭載される

タルガとは、ポルシェの登録商標で、ルーフ部分のみが開放されるオープンカーの形式である。これには面白い歴史があった。そもそもポルシェは356の時代からオープンモデルでも人気を博したブランドだ。ところが、'60年代に入ると一転、その安全性に問題アリと社会運動家のラルフ・ネーダーらに批判され、オープンカーそのものが凋落してしまう。

オープンカーの爽快さ、忘れ難し。

ポルシェは“文句”を言われない、安全なオープンカーと作ろうと工夫した。結果、生まれたのがロールバー付きのオープントップというわけである。そしてポルシェはこのスタイルを、当時世界選手権のかかった伊シチリア島のレース“タルガ・フローリオ”でポルシェ906らが勝利を得たことを記念し“タルガ”と名付けたのだった。

ちなみにタルガとはイタリア語で賞牌や楯の意味(他にナンバーなどのプレートの意も)。タルガ・フローリオはさしづめ、フローリオ(家)牌と言ったところか。

911シリーズが、俗にいう930ボディに進化してからも、アメリカ市場を中心にタルガの人気は衰えず、一時は911シリーズの約4割がタルガだったという。'80年代に入って、完全オープンのカブリオレが復活すると、さすがのタルガ人気もやや衰え、次第にオープンとは違う価値が求められるようになった。その回答が、現代のタルガに繋がるコンセプトカー“パンアメリカーナ”であり、それを具体化した993型の911タルガだった。

993タルガ以降、ガラスルーフと電動スライドトップの組み合わせがタルガの魅力となった。つまり、晴天のトップオープンはもちろん、雨の日でも空が楽しめるスポーツカーとして、独自の地位を得る。そして、996ではガラスハッチが開閉式に、さらには997でカレラ4ベースのみになるに及んで、911タルガはシリーズの中でも最も実用的でかつ最もラグジュアリーなモデルとして認められる存在となった。

911タルガ
リアシートを倒すと230リッターのラゲージスペースが確保される
マイナーチェンジ版の911タルガも、ラグジュアリィ度では抜きん出ていた。ワイドボディにメタルウィンドウフレームが光り、高級な佇まいが目をひく。マイナーチェンジによって小変更されたマスク&リアセクションも豪華さをさらに引き立てる。LEDランプが特に目立つ。

グレードは二種類。3.6リッターのタルガ4と、3.8リッターのタルガ4Sだ。いずれも6MTの他にPDKを選ぶことができる。

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