グランドツーリングカー気分で飛ばせるX6
BMWが「スポーツ・アクティビティ・クーペ」と呼ぶコンセプトを採用したX6 |
ことクルマにおいて、スタイリッシュであることはいろんな“難”を隠してくれる。さしずめ、このスタイリッシュなSUV/BMWX6では、難は図体のデカさ、だろうか。2m級の車幅と背の低さが、異物感を強調するのだが、“人とは明らかに違う”ようにみえるカタチを選んだという気分の良さが、きっとオーナーの自尊心を満足させることだろう。
東京の街中では、BMWを本当によく見かける。ありとあらゆるカタチのキドニーグリルが走っている。そんな彼らが羨望の眼差しを向ける。そこが、まず気持ちいい。スーパーカーなどとは違って、誰彼もがぶしつけな眼差しを向けてくる、というわけじゃない。それはそれで、とても疲れるから好都合だ。
食い入るように見つめるのは、BMWオーナー(男性に限られるが)の中でもMやクーペ系に乗る人たちが圧倒的に多く、X3やX5のユーザーに至ってはほぼ100%振り向く。他のブランドに乗る人はほとんど気にならないらしいが、ポルシェカイエンに乗る人だけはけっこう注目してくれた。
この感覚、昔どこかで味わったよな。そう、6シリーズが復活したときも、そんな感じだった。BMWオーナーのほぼ全てと、一部の輸入スポーツカー好きから羨望の眼差しを受けた。要するにX6とは、SUVにおけるクーペスペシャリティ、ということなのだ。
35iは全長4885mm×全幅1985mm×全高1690mmのボディに直噴V6パラレルツインターボを搭載。価格は851万円 |
それゆえ、走り出してしまえば、もう気分はグランドツーリングである。ひとたび高速道路なんぞに載ってしまうと、そのまま数時間、ぶっ飛ばして行きたくなる。実際にぶっ飛ばしてみて“これなら長距離も行ける”と思ったSUVなら過去に何台かあったが、高速道路に入った瞬間にそんな気分になったのは、背の高いクルマでは初めてだ。やはり、格好いいクルマに乗っているのだ、という人から見れば過剰な意識が、そういう気分にさせるのだと思ったりする。
とってもいいじゃないか、X6。欲しくなってきた。
BMWらしいインテリアの室内には、本革スポーツシートも採用。オプションでヘッドアップディスプレイも用意される |
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