冗談のような話だが、いまアメリカでは「iPodを聴ける」ことが、クルマの購入動機の大きなウエイトを持つようになっているのだそうだ。そのため、各クルマメーカーは純正カーオーディオにiPodを対応させることに必死。当然のごとく、その流れは日本にもやってきていて、今や国内でも
国産の主要全8メーカーと海外8メーカーがiPod対応のクルマを販売している。
|
330i Hi-Lineは直6 2,996ccエンジンを搭載 |
自動車メーカーのなかでも早くからiPod対応に取り組んでいたのが
BMWだ。05年3月から先代3シリーズ、X3、Z4およびMINIの純正オーディオでiPodを楽しむための専用接続キットが発売されていたのだが、06年10月に1/5/6/7シリーズおよび現行3シリーズに対応するiPod接続キットが追加された。これでBMWのほぼすべてのモデル(X5を除く)でiPodを楽しむことができるようになったわけだ。
純正オーディオシステムにiPodがつながる
そんな折り、
アップルから「iPodが聴けるBMWに乗ってみませんか?」という提案があった。用意されたクルマは現行3シリーズ(E90)の330i Hi-Line。レザー&ウッドのインテリアのゴージャス仕様で、オプションをひっくるめて、しめて731万円のクルマである。
|
これがiDriveコントローラー。写真はM-Sportパッケージのもの |
このクルマにはiDriveナビゲーション・パッケージが標準装備されていて、iPodの選曲等の操作もiDriveのコントローラーでできる。iDriveとはオーディオ、ナビ、エアコン、電話を、ATレバーの近くにあるコントローラーとモニターのGUIで集中操作できるもの。iDriveコントローラーはジョイスティックの前後左右に倒す/押すの動きとロータリーコマンダーの回す動きを大きなダイヤルひとつに受け持たせたもので、運転姿勢を崩さずにひとつのコントローラーで操作できるのがいい。
|
iPodを接続するとディスプレイにBMWのロゴが表示される |
iPodの音楽を聴くには、まずグローブボックス内に配線されたケーブルにiPodをつなぐ。接続してiPod側のディスプレイにBMWのロゴが表示されたら認識完了。クリックホイールによる操作はできなくなり、選曲操作はすべてiDriveコントローラーに委ねられる。ちなみに、このケーブルの端末はDockコネクターで、第4世代以降のiPod、iPod nano、iPod mini、iPod photoなら接続可能だし、接続中は充電をする。iPodビデオも接続できるが映像は出力できない。
iPodのコントロールはiDriveで
|
iDriveのメインメニューの状態でコントローラーを手前に倒すとAV系の操作ができる |
接続が済んだらソース選択と選曲。iPodの音楽を聴くには、まずiDriveコントローラーの手前のメニューボタンを押してメインメニューを表示させる。ここでコントローラーを手前に倒せば、AVソースの選択画面に切り替わる。画面の上にはFMやCD、MDといったオーディオ&ビジュアルソースの項目が並んでいるが、iPodを聴く場合はCDに合わせてコントローラーを押し込めばいい。残念ながらiPodという項目は表示されなくてCDチェンジャーなどと同じ扱いになるのだ。
|
iPodを聴くときはCDに合わせてコントローラーをプッシュ |
プレイリストやアーティスト、ジャンルなどによる選曲もできる。ただし画面にはプレイリスト/アーティスト/曲/ジャンルといった文字は表示されない。CD1/CD2などの表示がそれに対応しているわけだ。使っているうちにCD1がプレイリストでCD4がジャンルに置き換わっているということはわかってきたが、慣れるまではやや操作にとまどう。このあたりのインターフェイスは、まだ暫定的という印象は否めない。
|
画面ではプレイリスト、ジャンルなどの文字は表示されない |
|
プレイリストに対応するのがCD1、ジャンルがCD4という具合 |
それでも一度覚えてしまえば、操作はスムーズにできる。左手をステアリングから離して手を降ろしたポジションにiDriveコマンダーがあるから、操作のためにわざわざ姿勢を崩す必要が無いし、音量の上げ下げや次の曲への送りは、ステアリングにボタンが装備されているから、ステアリングを握ったままで操作できる。このあたりは純正システムならではの操作性の良さだ。アルバム名、曲名、アーティスト名などの日本語表示にも対応している。
画面に表示されたリストから曲を選ぶ時はコントローラーを回転させて聴きたい曲に合わせてプッシュ。画面に表示されている以外の曲を聴きたいと思いコントローラーを回していると、急に手に感覚が重くなる。これは次のリストに移行しますよという合図。最初は違和感があるが、ブラインド操作でもインフォメーションを与えるという意味では気が利いた機能といえなくもない。
次ページは「330i×iPod試聴記」