カーオーディオは難しい!?

カーオーディオは難しいとは良く聞く話だ。確かに、カタログや雑誌を見ても専門用語が多かったり、わけのわからない音質の表現があったりして、初心者にはわかりにくい部分があるのは事実。そのあたりは、自分自身も反省する部分だ。が、別に難しく考えることはなく、音楽を聴いて気持ちよければOK。そしてデッキやスピーカーをグレードアップしたり、アンプを足したり、あれこれと調整したりするのは、そうすることで音楽をもっと気持ちよく聴けるからだ。

そんな“もっと気持ちよく音楽を聴く”手前で踏みとどまっている人に向けて、難しいカーオーディオ用語をわかりやすく解説しながら、音楽をいい音で聴く魅力を伝えていきたいと思う。1回目は、最近多機能ナビやヘッドユニットなどによく搭載されているタイムアライメントという機能について。

タイムアライメントってなに?

タイムアライメントをそのまま訳すと、時間の整列・調節。カーオーディオでいうところのタイムアライメントは“音が耳に到達する時間を整える”という意味で使われている。なぜ、カーオーディオでそんな機能が重宝されるのかといえば、ホームオーディオとの違いを考えてみればわかりやすい。

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タイムアライメントの概念図。車内で理想的な音場再生を実現
CDなどのステレオ音源は、右と左のスピーカーが発した別々の音がリスニングポイントにおいて合成されることで、楽器の配置だとか、広がり、奥行きなどを表現している。そして、そのような理想的な音場とか音像の定位が理想的に再現される視聴位置は、リスナーから見て、左のスピーカーも右のスピーカーも同じ距離にある場所=右のスピーカーと左のスピーカーの音が同時にリスナーの耳に届く場所である。

ところがクルマの中では、理想的な視聴位置に座ることができない。というのも右ハンドル車の運転席に座れば、当然、右ドアのスピーカーが近くなるからだ。その場合、本来はリスナーの前(左右スピーカーの中央)で聞こえるはずのヴォーカルが右スピーカーから聞こえたり、楽器の配置がわかりにくかったり、理想的なステレオ再生とはほど遠い状態になってしまう。そんな状態を補正するデジタル技術がタイムアライメントなのだ。

各スピーカーの音が同時に耳に届くよう調整

原理としては、リスナーに近いスピーカーの音に遅延をかける。そして、左右スピーカーが発した音がリスナーの耳に同時に届くよう巧く調整できれば、左右どちらかのスピーカーが近い偏ったリスニングポジションでステレオ音源を聴いたとしても、ホームオーディオの最良のリスニングポジションで聞いているような理想的な音場を再現できるというわけだ。

カタログに○chタイムアライメントなどと記載されている場合もあるが、○の中の数字は独立して調整できるスピーカーの数を示す。たとえば2chタイムアライメントなら、左右の距離差を調整するだけだが、4chタイムアライメントならフロントスピーカーがトゥイーターとウーファーに分かれている場合でも、トゥイーターとウーファーを独立調整できる。つまり数字が多いほど、大がかりなシステムに対応し、きめ細かい調整ができるということだ。

元々は高級機だけの機能が一般化

このタイムアライメント機能、元々はカロッツェリアの最上級カーオーディオ“xシリーズ”やアルパインの“F#1Status”のようなハイエンドシステムだけに採用されていた。しかし今では、10万円以下のCDレシーバーにも搭載しているし、カーナビにも採用されていたりする。また、そのようなモデルの中には、自動的にタイムアライメント調整できるものもある。

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カロッツェリアDEH-P910。オートタイムアライメント機能を搭載

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このようなスピーカー位置ではトゥイーターの音が先に耳に届く
デッキをDEH-P910に、スピーカーをドイツのメーカー、レインボウのトレードインスピーカー・BM-588C(5万8,800円)に入れ替えて、まずは音楽を聴いてみたところ、純正システムよりはだいぶマシになったものの、高域の音が少し耳につく感じだった。これは、ドア下部に装着されたウーファーよりも、ドアオープナー近くにあるトゥイーターのほうがリスナーの耳に近いため、トゥイーターの音がウーファーの音よりも早くリスナーの耳に届くことに起因すると思われる。

タイムアライメントを調整。自然な音場とくっきり音像を車内で実現

そこで、オートタイムアライメントで調整してみる。DEH-P910は同時にオートイコライザーで車内の音響特性を整えることもできるのだが、ここでイコライザーまで話を広げてしまうと混乱しそうなので、イコライザーの話は割愛する。

調整は簡単。運転席のヘッドレストに付属のマイクをセットし、測定モードに切り替えてクルマの外で待つだけだ。その間、わずか数分。クルマの中では、それぞれのスピーカーからパルス音を出したり、ピンクノイズを出したりして、勝手に測定&調整が進んでいく。

調整終了後にもう一度、音楽を聴いてみると、その音は調整前と比べて見違えるよう。高域は耳につかなくなったし、ベースの音がはっきりと聞こえるようになったから、ノリが良くなった。それに、全体的に響きや艶が増した感じだ。そして、調整前は左Aピラーあたりから聞こえていたヴォーカルが、運転席の前のフロントガラスのあたりにくっきりと浮かび上がるようになった。この音像がはっきりするところが、タイムアライメントの効果の最もわかりやすい部分である。

タイムアライメントは、最良のリスニングポジションで音楽を聴けないクルマのなかで、あたかもホームオーディオの理想的なリスニングポジションで聴いているかのような自然な音場再生を可能にするデジタル音場補正技術。なお、タイムアライメントで調整した場合、理想的な視聴位置は運転席のみとか助手席のみなど、1カ所に限定される。助手席に人を乗せたとき、両シートで最良の音場再生ができるというものではないので、お間違えなく。

【関連リンク】
・カロッツェリア
・ジャンライン(レインボウ製品の輸入元)


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