輸入車/注目の輸入車試乗レポート

アメリカンドリームの成功者の証 STS-V(3ページ目)

シャープで明快なデザイン、[カット&ソー」でダッシュボードまで巻かれた本革のインテリアトリムに、446psのV8エンジンを積んだSTS-Vは、ヨーロッパや日本車とは違う個性を持つラグジュアリースポーツセダンだ。

執筆者:松本 明彦

カット&ソー

幅広の逆台形のセンターコンソールは、豊かさを感じさせる。
センターコンソールパネルに使われるのは、オリーブ アッシュ バール ウッド。エアコンは、もちろん左右別々の温度調整が可能。
FRのため、大きなセンタートンネルが通るが、ボディサイズも合って室内空間は広い。

インテリアは逆台形の幅広の、豊かさを感じさせるセンターコンソールを操作系の中心に添えるデザイン。五角形のステアリングパッドと共に、グリルとの関係を想起させる。このセンターコンソールやドアアームレストに使われるウッドは、STS-V専用のオリーブ アッシュ バール ウッド。わずかに黄みを帯びたダークグレイが、適度に華やかでありながら落ち着いた雰囲気を見せる。またセンターパネルの余白の大きさはアメ車独特のもで、広い大陸、豊かな大地を想像させる。きっと日本車なら、こんな隙間にもスイッチを並べてしまうだろう。

本革にパーフォレーテッド加工付きのスエードをインサートしたシート。
15スピーカーの、BOSE プレミアム5.1chサラウンド サウンド システムを装備。

シートは本革にパーフォレーテッド加工付きのスエードをインサートしたもの。豪華さとスポーティーさを両立させている。そのサイズも厚く大きく、アメリカの上流階級の家具の雰囲気を想像させ、ゆったりとさせてくれるものだ。

より広いライバル車もあるが、十分に広いリアシート。
背もたれは十分に高く、クッションは厚く、しっかり3名分の大きなヘッドレストとシートベルトも備えるリアシート。

また本革はシートのみならず、1,500万円超の超高級車並みに、ダッシュボードやドアトリムにまで使われる。しかもその製法は、「カット&ソー」。ファッション業界では一般的に、成型せず編んだ(流し編み)生地を裁断・縫製したものを「カット&ソー」という。STS-Vのレザーダッシュボード、レザードアトリムは、この「カット&ソー」の方法で作られる。部品にただ本革を貼っているのではなく、手作業で巻き込み裁断・縫製して作る、贅沢な作りだ。今後キャデラックでは、全車「カット&ソー」のインテリアを展開していくそうだ。

ダッシュボードまで、本革の手巻きの「カット&ソー」で仕上げられる。
ドアトリムも本革張り。

クリスプ(明確で、歯切れいい)なデザイン、「カット&ソー」で仕上げられた本革のインテリアトリム、全域でトルクフルで、力強く迫力ある走りなど、ヨーロッパや日本車とは明らかに異なる個性を持つSTS-V。AMGやBMW Mシリーズ、アウディSシリーズなどを考えているのなら、STS-Vはそれらの選択肢にいれてもいいラグジュアリースポーツセダンだ。

グローブボックス上の、Vシリーズエンブレム。

(写真・文 松本明彦)

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・キャデラックの情報

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